久々の企業分析です。
今回は読者の方からリクエスト頂きましたスクロール(8005)について分析したいと思います。
今回は分析初回なので、まず企業の基本情報から見ていきたいと思います。
企業概要
1939年に縫製加工業で創業した企業です。その後婦人会を通じた訪問販売業、総合カタログによる通信販売業に進出していきます。
2009年にムトウからスクロールに企業名を変更しています。
売上高は589億円(FY2017値)、時価総額は147億円(2018/4/1時点)です。
事業概要
事業の評価については次回詳述しますが、かなり幅広く手を出しているという印象です。
縫製加工業から通販事業に展開した成功体験というが企業文化として染みついているのかもしれません。
以下が開示セグメントとその中身になります。
「アパレル事業」は、アパレル商材の通信販売(カタログ及びインターネット媒体)。
「ライフファッション事業」は、雑貨や服飾雑貨の通信販売(カタログ及びインターネット媒体)。
「インナー事業」は、インナー商材の通信販売(カタログ及びインターネット媒体)。
「健粧品事業」は、化粧品や健康関連商材の通信販売を行っており、PB化粧品も取り扱っています。
「ソリューション事業」は、通信販売事業者やEC事業者向けのプロモーション支援、フルフィルメント支援、システム構築支援などを行っております。
通信販売事業を展開していく中で蓄積したノウハウを外販しているという事業になります。
また、起源からわかる通り、「アパレル事業」「ライフファッション事業」「インナー事業」はいずれも主婦層をターゲットにした商材を扱っています。
業績
続いて業績です。
スクロールの売上高は減少傾向で、営業利益も直近はなんとか黒字になっていますが、FY15では17億円の赤字を出しています。
有価証券報告書を見ると、天候不順だったことが赤字の原因とされており、なんとも危ういビジネスだなという印象です。
ではもう一歩踏み込んでどの事業が儲かっているか / 儲かっていないのかについて見てみたいと思います。
密集していて見にくいのでグラフ上の数字は割愛していますが、継続的に安定収益を獲得しているのは「インナー事業」と「ソリューション事業」です。
逆に「ライフファッション事業」「健粧品事業」はボラティリティが高く、「アパレル事業」は継続的な赤字事業となっています。
セグメント別営業利益を見る前は直感的に「収益を出しているのはソリューション事業だけでは」と仮説を持っていたのですが、意外にもインナー事業は安定的に収益を出していました。
インナーはその他のアパレル製品と異なり、余程のことがない限り他社製品へのスイッチが行われにくい商材であることが一つポイントなのかもしれません。
ちなみに各事業の売上割合はこんな感じです。
収益を出している「インナー事業」および「ソリューション事業」の割合は決して高くない(むしろ低い)というのが、スクロールのなかなか厳しい状況を表しています。
次回は、スクロールの戦略志向を見ながら、目標株価について分析したいと思います。