経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

USSはシステムロケーションの競合なのか?

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先日システムロケーションの分析を行いました。

www.con-invester.com

www.con-invester.com

 そこでの分析の結論としては、
「競合と想定されるUSSとの資本力がちょっとキツいんじゃないか」
というものでした。

その中で読者の方から下記コメントを頂きました。

ブログ拝見させていただきました。
分析ありがとうございます。
システムロケーションさんは残価設定の支援システムに強みがあり、トヨタファイナンス等との取引の関連からトヨタ系の新車ディーラーに営業をかけております。
決算短信を読むと中古車向けより新車向けで業績拡大しているため、USSが競合になるとは思えません。
競合するなら同じ残価設定システムを開発しているプロトかなぁと。

本ブログの目的でもありますが、自分にはない視点・知識、或いは自分が詰めきれていない部分についてコメント頂くことで、より分析の精度を高めていけると考えております。本当に有難う御座います。

さて、本題ですが、今回分析したシステムロケーションが展開する事業というのは分かり易いようで、実は非常に分かり難い。

今回はシステムロケーケションの"競合"を明確にする上で、①「自動車販売の商流」および②「"競合"の定義」について書きたいと思います

①自動車(新車)販売の商流

まず、新車販売ディーラーの商流を見ておきます。

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新車ディーラーには大きく二つのトランザクションが存在します。

1つ目が消費者に新車を販売するトランザクション
この時、消費者が初めて車を買う人でない限り、中古車の下取りが行われます。

そして2つ目が下取りした中古車をオークションで売却するトランザクション

さて、ここで新車ディーラーがシステムロケーションの残価設定システムを利用するモチベーションを考えてみたいと思います。

新車に残価もくそもないので、システムを利用するモチベーションはただ一つ、「中古車をいくらで下取りできるか?(どの価格であれば損しないか?)」です。

つまり新車ディーラーであっても、中古買取事業者でも、残価設定システムを利用するモチベーションは同じだと考えられます。

ここでのポイントは、新車ディーラーであっても、中古買取事業者であっても、オークション会場に接点があるという点です。

そうなると自然と取引データはオークション事業者に蓄積していきます。
システムロケーション自身はこれまで運営してきたオークション(※既に撤退済み)により蓄積してきたデータが強みとして掲げていますが、実際には他オークション事業者(USSなど)も同様にデータを蓄積できるわけです。

もし僕が新車ディーラーの立場であれば、わざわざ取引先を増やさなくても、どうせ接点を持たなければいけないオークション事業者から似たようなデータを貰えば良くないか?と考えると思います。

実際に、USSなんかは事業者向けに情報提供サービスを行っています。

CIS|中古車業者向けインターネット情報サービス

一応、システムロケーションのサービスラインナップには新車販売支援システムもありますが、これは新車ディーラーを囲い込むための、或いは新車ディーラー開拓時のフックとしてのオマケでしょう。

②競合の定義

もう一つ、競合の定義についてもクリアにしておきたいと思います。

システムロケーションのHPには「競合はいない」とさえ記載されています。

www.slc.jp

この事業規模で直接的な競合がいないとなると、同様の価値を提供する代替サービスがあると考えるのが自然だと思います。

それは前述のUSSが提供する情報サービスだったりと。

USSの情報サービスにログインできていないので、どこまで情報を提供しているのかは想像の域を出ませんが、恐らくシステムロケーションの残価設定システムと全く同じ情報の提供は行っていないと思います。

ですが、どのような車種、年式、走行距離の車両がどの程度の価格で取引されたかという情報の提供が行われていると想定されるので、そこから「中古車をいくらで下取りできるか?(どの価格であれば損しないか?)」という意思決定に資する情報を収集できるわけです。

前回の記事では曖昧な書き方をしてしまい大変恐縮ですが、USSが代替サービスとして競合であると記載した背景になります。
(システムロケーションの残価設定システムとUSSの情報提供サービスを両方使うことは恐らくないと思われるので)