さて、前回の続きです。
(前回行いましたシステムロケーションの分析はこちらになります。)
競合比較
オークション市場に関連する事業を展開しているということで、オークション運営の巨人であるUSSの動向を見ながら、システムロケーションの置かれている事業環境について見ていきたいと思います。
USS概要
念のためUSSの概要についてサラっと見ておきます。
USSは東証一部上場で、時価総額は7,514億円(2018年2月5日時点)。
中古車オークション会場の運営の他、中古買取専門店の「ラビット」も展開しています。
売上高672億円、営業利益324億円、ROS48%というお化け高収益企業です。
中古車オークションの出品台数ベースでのシェアは30%を超える高シェア企業でもあります。
USS戦略
僕としては、USSがシステムロケーションの最大の競合になると考えています。
有価証券報告書やHPを見ていくと、システムロケーションが提供している業務支援サービスまで行っていることが分かります。
加えて、USSの戦略を見ていくと、今後はこの業務支援領域の勝負になるんだろうなということが伺えます。
やはり国内市場は縮小していく見通し。
その中でいかに利便性を高め、シェアを拡大していけるか(競合から顧客を奪ってこれるか)という点を志向していく流れになると想定されます。
オークション領域は決して競合が多数うごめいているわけではありませんが、USSの事業強化がシステムロケーションにとっては成長に向けた大きなハードルになると考えられます。
システムロケーションの財務基盤
そうなると、競争をしない戦略を取らない限り(USSと業務提携によるシステム提供)、ある程度資本の差になってくるかなと思います。
下記はシステムロケーションのネットデットになります。
(ネットデット=有利子負債-現金および現金同等物)
つまり、マイナスであることは実質無借金であることを指します。
おお、じゃあシステムロケーションってキャッシュリッチなんだ、投資できるじゃん!と思った方、少々お待ちください。
注目したいのは「推移」です。
2015年から年々ネッドデットのマイナス額が減少しています。これは手元の現金が減っていることを示しています。
次が営業キャッシュフローです。
そう、2016年から2年に渡って営業活動によって自由に使えるお金を全然増やせていないのです。
営業キャッシュフローだけでマイナスあるいは±0の世界なので、オークション関連サービスの覇権争いをしていくには何とも心細い限りです。
目標株価
最後に簡易的ではありますが、目標株価について書いておきます。
「EBITDA成長率」「EBITDA倍率」という2つ変数で目標株価について算出したいと思います。
前提
EBITDA Margin :FY2017値である28.0%が今後も一定と仮定
Net Debt :FY2017値である-11億円(無借金経営)が今後も一定と仮定
少数株主持分 :FY2017値である0が今後も一定と仮定
発行済み株式数 :2018年1月6日現在の3,570,000株が今後も一定と仮定
ケース
EBITDA成長率 :FY13-17のEBITDAのCAGRである4.9%、FY15-17LTMのEBITDAの成長率である1.0%、ゼロ成長の3ケース
EBITDA倍率 :現在値である14.1x、現在値とUSS値との平均である14.6x、USS値である15.2xの3ケース
試算結果
最大ケースでは1,643円となりました。
ただ個人的にはかなり攻めた試算だと思っています。
USSとのがちんこ勝負でどこまで戦えるのか。はたまたUSSとの協業の道を探るのか。
その辺の具体的な方向性が見えない中では1,400円台が一つの目安になるのではと思います。