経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

ぐるなび(2440)企業分析①

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2018年一発目の分析対象はぐるなび(2440)です。
昨年末からクックパッドに投資を開始しており、今年は飲食関連を厚めにウォッチしていきたいなと思っております。

企業概要

言わずもがなだと思いますが、ぐるなびは飲食店の情報を集めたポータルサイト「ぐるなび」を運営しています。

東証一部上場で、時価総額は651億円(2018/1/1時点)になります。
Bloonbergが年末に発表したTOPIX採用銘柄の上昇・下落率ランキングによるとぐるなびはなんとワースト2位という結果でした。

17年TOPIXは20%高、北の達人やペッパーF、東海カーボンが活躍 - Bloomberg

事業内容

まず、ぐるなびの事業について正確に把握しておきましょう。
ぐるなびの事業を分かり易くイメージするために、ぐるなびと共にグルメサイトの二強を構成する食べログと比較しながら見ていきたいと思います。

ぐるなびと食べログは、飲食店が掲載されているポータルサイトを運営しているという視点で見ると同じように見えますが、両社で目的が大きく異なります。

ぐるなびは「飲食店支援」を、食べログは「ユーザー体験向上」を目的にしています。
両者のサイトを見れば一目瞭然ですが、ぐるなびが特集やキャンペーンに多くのスペースを割いているのに対し、食べログは検索窓が多くのスペースを占めています。
(特集は端の方に細々と記載)

これは財務面にも大きく表れています。
「飲食店支援」を目的にするぐるなびはどうしても営業人員を張らざるを得ません。
一方、飲食店サイドからの掲載してくださいという依頼待ちでも十分にビジネスが回ってしまう食べログは営業人員を必要としていません。
その結果、食べログのROSはぐるなびのそれを大きく上回っています。
(ぐるなびは全社、食べログはFY13は全社、FY14-17は「インターネット・メディア事業」セグメント)

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「え、ってことはぐるなびよりも食べログの方がいいじゃん。」
と、考えるのは早急です。

たしかに、数年前に戻れば食べログの方が魅力的な事業であったかもしれません。
ですが、世は飲食関連サービス激戦時代です。もうレッドオーシャン中のレッドオーシャンです。
どれくらいレッドオーシャンか知りたい方はこちらをご覧ください。

jp.techcrunch.com

今ではこうしたポータルサイトを使っていない人の方が圧倒的にマイノリティです。
純粋にユーザー数を増やすことが頭打ちの中で更なる成長を実現するためには、付加サービスによりユーザー又は飲食店側からお金を払って貰うしかありません。

そうした状況では、営業人員を張って飲食店側とガッツリ接点を持っているぐるなびが優位な訳です。
(詳細は次回の戦略志向で記載します)

業績

さて、肝心の業績です。
これまでの業績を見ていくと、ぐるなびは堅調に売上を伸ばしています。
前述の通り、飲食関連サービスはレッドオーシャン中のレッドオーシャンなので、これは賞賛に値するパフォーマンスなのではないかなと。

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ただ、食べログの成長は驚異的ですね。
(ぐるなびのCAGR:7.9%、食べログのCAGR:45.6%)
売上規模で言うとぐるなびの半分程度ですが、同じくらいのプレゼンスを感じるのはやはりこの勢いでしょう。

とは言え、イケイケどんどんの食べログにも厳しい現実が突きつけられています。
それが少し前に話題になった「有名レビュアーが過剰接待を受けていた問題」です。

www.houdoukyoku.jp

その他にも競合店が悪質な口コミを投稿したりと問題が後を絶ちません。
そんな問題をビジネスチャンスに変えたのが実名グルメサイトを運営するRettyです。
まだまだ規模は小さいですが、確実にユーザー数を増やしており(2017年5月で月間利用者数が3000万人)、今後食べログの脅威になってくることでしょう。

japan.cnet.com

少し話が逸れましたが、飲食関連サービスはこんなホットな状況です。
次回は激戦時代におけるぐるなびの戦略志向を踏まえ、目標株価について検討していきたいと思います。