さて、前回の続きです。
(前回行いましたクラウドワークスの分析はこちらになります)
「島国」という参入障壁
前回、競合であるランサーズと比較した場合の競争優位性について言及しました。
とは言え、世界に目を向ければこのクラウドソーシング業界にはもっと大きな巨人が沢山います。
海外だとoDeskやFreelancer.comなんかが有名で、彼らは100-200か国レベルの登録者を抱えています。
一方で、そんな巨人も日本ではクラウドワークスやランサーズの後塵を拝しています。
なぜか。理由は「日本語」という参入障壁があるからです。
グローバル展開するクラウドソーシング企業の成長の原動力は、「賃金が高い国における業務を賃金の低い国にソーシングする」ことです。
そして、それを実現しているのは英語という言語です。
つまり、多くの国民が日本語しか使えない日本において、彼らの持ち味が発揮できないわけです。
英語を使い慣れていない日本人にとって、英語で仕事を「依頼」し、英語で仕事を「管理」し、その結果出てくる英語の成果物を「扱う」ことは非常にハードルが高いです。
また、島国根性が根付いている日本人にとって、違う国民性を持つ人々と協働することはあまりにも難しい。
そんなわけで、グローバルに事業を拡大していくことができない一方で、海外の競合が日本に魅力を感じず入ってこない、又は入れない状態なわけです。
ランサーズとの差別化方法は「広告宣伝投資」+「ベンチャー投資」
先に上場したことによるアドバンテージについても前回書きましたが、クラウドワークスはそこで得た資金で「広告宣伝投資」と「ベンチャー投資」によって、ランサーズを含む競合と差別化を図っています。
「広告宣伝投資」
調達資金で広告宣伝投資を行って顧客を獲得するというのは、まぁ教科書通りですね。
上場後から一気に広告宣伝投資を増やしたことで、顧客数も増加の一途を辿っています。素晴らしいですね。
ベンチャー投資
先ほど、日本のクラウドソーシング企業はグローバル展開が難しいと書きましたが、クラウドワークス自身も当然ながらそれを理解し、海外プレーヤーとは異なる進化をしようとしています。
独自経済圏の形成です。
そこで欠かせないのがベンチャー投資。
知らなかったのですが、かなり積極的に出資しているようです。
ベンチャー投資はリスクの極みですから、上場して資金調達したからこそ成せる技です。
勿論、他にも自前で新規事業をバシバシ繰り出しているようですが、「時間を買う」ことを目的することも多いM&Aを活用して、競合との差を確固たるものにしていく感じでしょうか。いいですね。
目標株価・・・。
さて、いつもなら業績とマルチプルで目標株価を算出するところですが、如何せん現状赤字で、成長の伸びしろも予測困難。
というわけで、上場最高値である1,900円を一先ず目指す方向でホールドしたいと思います。(現在株価の約2倍ですね)