経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

JESCOホールディングス(1434)企業分析②

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さて、前回の続きです。

(前回行いましたJESCOホールディングスの分析はこちらになります。)

www.con-invester.com

 

戦略・競争優位性

JESCOの競争優位性は海外事業比率の高さと、海外事業により培ったノウハウや人脈にあります。

JESCOの海外事業の歴史は、マレーシアでは1997年に、ベトナムでは2001年にスタートしています。

その後着実にノウハウや人脈を蓄積していき、独自スキームにより、事業強化の好循環を作っています。

日本の品質が優れているのは何も耐久消費財に限りません。

建設工事においても、やはり日本の技術力はたしかなものがあります。

生活に密接しているインフラにおいては、日本品質に対するニーズが高いと想定されます。

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しっかりと現地で実績を積みながら(スタートはマレーシアで現地企業と合弁会社を設立)、「日本のJESCO」として認知を拡大し、プレゼンスを築いているようです。
(それにしても全社売上が100億円にも満たないJESCOがここまで海外事業を拡大しているのは本当にすごい・・・)

そうなると必然的に日本人あるいは日本で高い技術を学びたいという現地の職人が現れます。

JESCOはそういった人材に対して、日本人スタッフを現地に派遣して技術を伝達したり、逆に日本に呼び寄せて研究を行ったりする等の手厚いサポートしています。

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何もJESCOはボランティアでやっているわけではありません。

①海外労働力の確保

こうしてチャンスを貰った海外人材が、仮に日本で働き続けてくれれば、労働力不足が叫ばれる日本において一気に優位に立つことができます。

②海外パートナーとの関係構築

また、仮に日本で技術を身に付けた海外人材が母国に帰国した場合も、彼らは母国でエンジニアとして働くわけです。

人間には恩や仁義というものがあります。
帰国したエンジニアが独立するかもしれませんし、現地大手企業に就職するかもしれません。

形はそれぞれ異なるかもしれませんが、JESCOに仕事を紹介したり、JESCOに助っ人になったりと様々な形での貢献が期待できます。

 

市場の見通し

国内市場

電気/電気通信工事は新設のみならず、更新需要があり、特にIoTのポテンシャルが叫ばれる昨今において、安定した需要が見込まれそうです。

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アセアン市場

アセアンは言わずもがなですが、人口増加やGDP上昇により、高成長が期待できます。

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国内については否定的な意見も存在しますが、既に海外比率が20%超えるJESCOにとっては国内が多少下向うが、大した影響ではないでしょう。

 

目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価(ターゲットはFY19)について書いておきます。

前回も記載した通り、EPSは非連続的なインパクトを受けてしまうので、今回からEBITDA倍率を用いた形で株価を試算したいと思います。
(一方でEBITDA倍率の場合はいくつかの前提を置く必要があるので少しややこしくなりますが・・・)

前提

EBITDA Margin :FY2016値である5.6%が今後も一定と仮定

Net Debt :FY2016値である19億円が今後も一定と仮定

少数株主持分 :FY2016値である3億円が今後も一定と仮定

発行済み株式数 :2017年5月30日現在の6,280,900株が今後も一定と仮定

ケース

売上高成長率 :FY14-16のCAGRである11.2%、その半分の5.6%、ゼロ成長の3ケース

EBITDA倍率 :2017年5月30日値である10.7x、競合平均と現在値の平均値である8.8x、競合平均である7.0xの3ケース

試算結果

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最大ケースでは、739円と算出されました。

やはりネックになるのは現状のEBITDA倍率の高さだと思います。

これまで分析した通り、JESCOは企業として魅力できだと想定されます。

一方で、成長を続けても、競合水準までEBITDA倍率が切り下がれば、今より株価が下落することになります。

現状だけ見れば決して割安とは言えませんが、世の中にはEBITDA倍率が数十倍で推移する企業もある中で、成長の現実性が高いJESCOの魅力に気付いた投資家達の買いに支えられて上昇する可能性も多いにあると思います。