今回は第一工業製薬(4461)の分析を行いたいと思います。
第一工業製薬は東証1部上場で、時価総額は245億円(2017/5/6現在)
企業概要
第一工業製薬は産業・工業用の薬剤、添加剤、助剤などを製造販売している日本の化学品メーカーです。
当業界に馴染みのない方からすると「結局何やってるんだよ・・・」という感じかとは思いますが、最終製品に様々機能(乳化、浸透、洗浄等)を付与するための化学物質です。
用途としてはアイスクリームやマーガリン等の「食用」、洗剤やシャンプー等の「日用品用」、「塗料・インキ用」、「コンクリート用」等多岐に渡ります。
需要が多岐に渡るため、比較的安定した業界であると言えそうです。
事業構成
第一工業製薬の事業は本来的に異なる物質で切られていますが、話が難しくなるので、敢えて用途の違いにのみ触れた形で一度全体を見てみます。
最大セグメントは界面活性剤で、「IT・電子材」「洗剤」「金属」用途に展開しています。
ちなみにこの界面活性剤セグメントが全社利益の6割以上を稼ぎ出しています。
業績
業績を見ると、売上は微減という形ですが、営業利益およびROSは右肩上がりで上昇しています。
営業利益、ROSについては5年間で倍になっており、注目に値します。
化学業界では、売上高と営業利益の伸びは必ずしも一致しないことが多々あります。
化学製品は基本的に原油からできているので、「原価」は原油価格に大きく依存します。
ところが化学業界の風習として、原油価格に連動せず「売値」は固定で決まっています。
その結果、原油価格が下がれば利益率は上がり、原油価格が上がれば利益率が下がるという現象が起きるわけです。
実際に第一工業製薬のROSとナフサの価格の動きを見ると、それらの連動が良く分かります。
(国産ナフサ基準価格は連動が分かり易いように、敢えて軸を逆さにしています)
そのため、製品として安定した需要がある云々だけではなく、原油価格がどうなるかというのが非常に重要になってくるわけです。
「原油価格がどうなるか分かったら、原油トレーダーになるだろ!」と言う方、全くその通りです。
本来的には原油価格に依存する企業経営とは全くもってイケてないのです。
そのため化学各社とも、原油価格に依存しない事業ポートフォリオの構築を必死に推し進めている訳です。
この辺の第一工業製薬の取り組みについては次回見ていきたいと思います。
今回は、そもそも第一工業製薬がどんな事業を展開し、パフォーマンスはどんな感じなのかというところを見てみました。
次回は市場の見通し、及び第一工業製薬の戦略志向を踏まえ、目標株価について見ていきたいと思います。