今回はスタジオアリス(2305)の分析を行いたいと思います。
スタジオアリスは東証1部上場で、時価総額は392億円(2017/4/19現在)
企業概要
スタジオアリスは子ども写真館の運営を主力事業としており、路面店やショッピングセンター内、トイザらス内へ出店しているようです。
僕自身、写真館最大手のキタムラが業績悪化していることから、てっきり写真館市場は最早利益が出ない地獄の市場だと勝手に決めつけていましたが、スタジオアリスはしっかりと業績を伸ばしており(後段で詳述)、「思考停止」や「思い込み」は禁物だと改めて思った次第です。
事業構成
スタジオアリスは写真館の運営が主事業であり、サブ的に撮影用の衣装等の製作・販売も行っています。
写真館の撮影項目内訳は、七五三が全体の4割程度を占めている状況です。
業績
業績は売上、営業利益共に上昇傾向にあり、美しいグラフになっています。
店舗数も順調に増やしています。スマホの普及やカメラ性能の向上、加工アプリの登場で写真館は流行らないビジネスだと思っていましたが、まさか店舗数まで拡大しているとは・・・。
「企業概要」でも書きましたが、「思い込み」は禁物ですね。
ちなみに、競合写真館と比較して、スタジオアリスのROSはめちゃくちゃ高いです。
競争優位性
こうなるとスタジオアリスの競争優位性が気になります。
スタジオアリスの競争優位性は、ずばり事業ポートフォリオだと思います。(対キタムラ比)
写真館市場が今後縮小していくという前提は各社ともあるようです。
その中で、キタラムはデジカメやスマートフォン、カメラ用品販売等、「事業ドメイン」を拡大する一方、スタジオアリスは飽く迄も事業ドメインは変えずに「ターゲット顧客」を拡大しています。
その結果が両社の事業ポートフォリオに大きな差異を生み出しています。
次回詳述しますが、両社の写真館事業は非常に類似しており、写真館事業における何かが収益性に大きな差を生んでいるとは考えにくいです。
(ネットでは両社の写真館の比較等が盛んに行われていますが)
では、キタムラは「選択と集中」を行い、収益性の高い写真館事業に特化すれば良いのでは。
という意見が出そうですが、ドメスティックにリストラを敢行する欧米企業と異なり、日本企業が「選択と集中」を行うことは非常にハードルが高いのです。
僕自身、従業員数が1万人を超えるある大手企業が「選択と集中」をテーマに、本業に関係のない子会社(従業員数:数十名)の売却支援に携わった際、従業員の精神面や「従業員を他社に移す」という企業としてのマイナスイメージ等を懸念し、結果売却しないという結論になったという事態に直面したこともあります。
企業経営においては、時として「持たざる者」が強いのです。
現状はスタジオアリスが当該市場にて優位な立ち位置にいることが分かりました。
次回は、スタジオアリス事業の持続可能性について触れながら、目標株価について分析を行いたいと思います。