さて、前回の続きです。
(前回行いましたユニゾホールディングスの分析はこちらになります)
株価・水準
2012年4月から上昇を続けていましたが、2015年8月に6,240円を付けると、下落を始め、現在は直近高値の半値以下で推移しています。
財務懸念で下落した形でしょうか。業績自体は好調に伸び続けているため、PERは競合と比較して低水準にあります。
競争優位性
前回も書きましたが、ユニゾの強みは「優良立地」と、優良立地の調達を実現するための「資金調達能力」だと考えられます。
①「優良立地」
オフィス賃貸事業もホテル事業も、収益性は立地に大きく左右されています。
例えばオフィス賃貸事業であれば、駅から5分以内の物件が全体の8割と厳格な投資基準があるようです。
優良物件を保有することで空室率を低くキープでき、結果、顧客を選べる立場になります。
長期的な優良顧客(オフィスであれば企業、ホテルであればテナント)を囲い込むことで、収益席も安定させることができます。
②「資金調達力」
しかし優良立地を調達するためには、そうでない立地を調達する時と比較し、より多くの資金が必要になります。
大型株ほど信用力がなく、また財務基盤もない中小型株にとっては、優良立地を多数調達するだけの資金を確保することは一つのハードルとなります。
しかし、前回記載した通り、ユニゾの場合はNet D/Eが異常なまでに上がっても、低コストで資金を調達することができています。
この高い資金調達力により、同規模の競合が揃えることができないような物件をガンガン調達できると想定されます。
今後の見通し
気になるのは今後どこまで成長が続くかということです。
FY12-16のEPSは23.2%で成長しているものの、Net Debtはそれ以上(31.4%)で増加しています。
これ以上財務状態を悪化させれば当然格付けも下がるため、銀行OBパワーを発動しても低コストでの資金調達は困難になることが想定されます。
但し、ユニゾ自体はまだまだ手を緩める気はなさそうです。
ここまでリスクテイクし、何等かの不足の事態が起こった時、さすがに銀行は傘を取り上げるのでは・・・と懸念してしまいます。
元銀行マンの自信なのか、はたまた元銀行マンのエゴなのか。現時点では測り兼ねるところであります。
目標株価
最後に簡易的ではありますが、目標株価(ターゲットはFY19)について書いておきます。
現在の一株当たり純利益が332.4円、株価が2,707円(2017/4/4時点)、PERが8.1倍
利益成長率とPERの感応度分析結果が下記になります。
利益成長率は、+1.0%、ゼロ成長、-0.1%の3ケース
利益成長率をどう置くか非常に悩ましいところですが、安定してキャッシュを生む体制はできているので、後はどれだけ早く負債を減らすかだと思います。
しかしながら、その辺の資本政策は外部者には分からないため、上記3ケースを仮置きしました。
PERはホテル・ビル賃貸の競合平均である18.9倍を最大値とし、現在値との平均値、現在値の3ケース
最大ケースだと6,473円という試算になりました。
約1年前にも6,000円台を付けていることからも、十分説得力がある水準ではないでしょうか。
やはり財務のところが少し気になりますが、ここまで見てきたように、あれだけ事業で収益をあげられるのはとても魅力的です。
ですので、自分のポートフォリオと相談しながら、財務状況の改善具合に応じて徐々に保有割合を増やしていくという投資方法が望ましいのではないでしょうか。