先日、藤野氏率いるレオスキャピタルワークが運用するファンドの残高が急増してたことで、問題に直面していると話題になりました。
元々運用成績が良く投資界隈では有名であったひふみ投信は、テレビ東京の「カンブリア宮殿」に取り上げられると、人気が更に加速したようです。
既存投資家の方が嬉々として成功体験を語り、ひふみ投信や藤野氏への愛を惜しげもなく語る姿を見て、多くの投資家(予備軍)が自分の姿と重ね合わせたことでしょう。
中には、「娘の学費を預けた」という行き過ぎた愛を語る人までいました。
そもそも「ひふみ投信」とは?
野村アセットマネジメントやゴールドマンサックスアセットマネジメントを経た藤野氏らが運用するファンドがひふみ投信です。
ひふみ投信の特徴は、「①徹底した企業分析」と「②中小型株中心のポートフォリオ」になります。
①徹底した企業分析
ひふみ投信では、"足で稼いだ"定性・定量情報で、どのような投資環境でも独自要因で成長を遂げる成長企業を発掘することを掲げています。
カンブリア宮殿でも、藤野氏が全国にある企業の経営陣へのインタビューや工場見学等を精力的に行っている姿が映し出されていました。
少し話はそれますが、藤野氏が企業訪問をする際は、どんなに遠くても最寄り駅からオフィスまでは徒歩で向かうそうです。
藤野氏曰く、オフィスの周辺環境を把握するため、又駅からの距離感覚を掴むことでどれだけコスト意識(駅に近ければそれだけコストが上がるため)を持っているかを把握するためだそうです。
②中小型株中心にポートフォリオ
そしてもう一つの特徴は、ファンドの構成比率において中小型株が最も高いということです。
だいたいの比率としては、大型株:25%、中小型株:50%、超小型株:15%、現金5%という比率です。
(ひふみ投信では、時価総額300億円未満を「超小型株」、時価総額300億円~3,000億円を「中小型株」、時価総額3,000億円超を「大型株」と定義しています。)
「ひふみ投信」が直面する問題とは?
お金は自身を肥やしくれる場所を敏感に嗅ぎ取り、絶え間なく動き回ります。
パフォーマンスの良い投信、ポートフォリオマネージャーの下には絶えずお金が流入してくるのです。
例に漏れず、運用パフォーマンスの高いひふみ投信には、絶え間なくお金が流入し、純資産総額も伸び続けています。
しかし、運用資産が増えたということは中小型株を主戦場とするひふみ投信にとっては必ずしもプラスに働きません。
以前の記事にも書きましたが、機関投資家の運用する資金量は、中小型株では吸収し切れません。
こうなると、大型株の比率を増やすか、或は海外の中小型株まで地域を拡大するか等の次なる一手が必要となります。
実際に藤野氏自身もこの問題に危機感を持っており、冒頭の日経記事に対して下記のようなコメントをしています。
最後の「はっと気がついたこと」というのが非常に気になる点です。
あの伝説的な投資家であるピーターリンチも、自身の成功が次なる成功を遠ざけていることに悩み続けていたとい言います。
「はっと気づいたこと」が「視点を変えるとこういう風にも見えるよね」的なものではなく、本質的な課題解決策であれば、機関投資家として新たな境地を切り開くことになるかもしれません。
いずれにしても、現時点では強力なライバルである機関投資家が戦い難い中小型株というのは、運用残高が2,800億円もない個人投資家にとっては最高フィールドではないでしょうか。