経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

ティビィシィ・スキヤツト(3974)企業分析①

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今回も、読者の方からリクエスト頂きました企業について分析したいと思います。

今回分析するのは、ティビィシィ・スキヤツト(3974)になります。

企業概要

ティビィシィ・スキヤツトは、中小企業向けのビジネスサービスを行う「ティビィシィ」、美容サロン向けICT事業を行う「スキャット」、介護サービス事業を行う「TBCシルバーサービス」が合併して生まれた会社になります。

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2016年にJASDAQに上場し、時価総額は27億円(2018年8月28日時点)規模の企業になります。

事業概要

ティビィシィ・スキヤツトの事業をもう少し詳しく見ていきたいと思います。

構成としては、美容サロン向けICT事業が57.8%、介護サービス事業が28.4%、中小企業向けビジネスサービス事業が13.8%となっています。
(いずれもFY2017における売上割合)

美容サロン向けICT事業

全社の57.8%も占め、ティビィシィ・スキヤツトの主力事業が、美容サロン向けICT事業です。

事業の中身としては、美容サロン向けの顧客管理・販売管理システムの販売や、集客支援アプリの提供になります。

その他、美容品の販売ディーラーの販売管理システムの提供も行っているようです。

まぁ今流行りの経営・業務・集客支援ですね。

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この手のビジネスは、一度入り込んでしまえば、スイッチングコストが高く、継続的にお金を落としてくれる顧客になるので、売上も利益も安定的、かつ収益性の高いモデルなのですが、ティビィシィ・スキヤツトの場合は少し苦戦していそうですね。

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ストック型のビジネスモデルなので、2016年から2017年にかけて売上高が減っているということは、解約(≒他社へのスイッチング)が行われていることになります。さきほどスイッチングコストが高いと申し上げたビジネスモデル、かつ「新規獲得」よりも「解約」が明らかに多いとなると、けっこうアツい状況なんじゃないかなぁという気がしてしまいます。

この辺の市場・競争環境なんかは次回詳述したいと思います。

介護サービス事業

次は、全社の28.4%を占める介護サービス事業です。

先に書いてしまうと、3つ目の中小企業向けビジネスサービス事業がグダグダなので、介護サービス事業が3セグメントの中で一番良いんじゃないかと思っています。

事業の中身としては、介護付き有料老人ホームを栃木、群馬、長野で合計3施設運営しています。

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介護施設運営は、なかなか収益性を高く維持するのが難しかったりするので、10%前後というのは「けっこう高いな」という印象です。

なにやらFY2017下期の施設内の入居稼働率は95%前後だとか。

また、同じ施設内に「介護予防」を目的としたパワーリハビリなどの健常中高年者向けサービスもスタートしているようです。

この施策の素敵なところは、別の収入源を作りながら、「介護事業」への導線も作っているところです。

この介護予防サービスを受けた方の多くは、いざ介護施設に入るとなると、間違いなく最初の選択肢にこの介護施設が挙がってきますからね。

中小企業向けビジネスサービス事業

最後は、全社の13.8%を占める中小企業向けビジネスサービス事業です。

ティビィシィ・スキヤツトの歴史を紐解くと、一応祖業に当たります。

当セグメントは、中小企業の人材不足を補い、経営をサポートする目的で、人材派遣や経理・事務代行、企業経営に対するソリューション提供を行っています。

単純業務のBPOサービスから、企画系のコンサルティングサービスまで行っています。

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FY2016には一度赤字に転落していますが、FY2017では不採算事業(地方自治体からの業務請負など)からの撤退により、なんとか黒字化しています。

BPO事業は結局規模の経済が価値の源泉なので、トップラインが下がっているこの状況だと、なかなか厳しい感じですね。

少し先出しすると、ティビィシィ・スキヤツトの戦略志向としても、このセグメントを強化していこうという感じではないので、どちらかというと縮小均衡という感じでしょうか。

 

今回は、ざっと全体像と現状を見ていきました。

次回は戦略志向や市場環境を踏まえて、目標株価について分析したいと思います。