経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

オープンドア(3926)企業分析②

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さて、前回の続きです。
(前回行いましたオープンドアの分析はこちらになります)

www.con-invester.com

 競争環境

 OTAの乱立により、OTA一括比較するサイトのニーズが高まってきたと前回書きました。

たしかに、「楽天トラベルを見て、じゃらんを見て、どっちが安いかを比較する」っていう行為は異常なほど面倒ですからね。

そんな強烈なニーズがあれば、当然、比較サイトにも競合が多数存在します。

日本発のサービスであれば、トラベルジェイピー、フォートラベル、ホテルジェイピーなどなどで、外資系サービスであれば、あの有名な世界のトリバゴなんかが競合になります。

ちなみに、日経トレンディによると、2017年上半期でもっともCM放送回数が多かった女性が、トリバゴのCMに出演しているナタリー・エモンズさんだったらいしいです。

それだけ、広告宣伝費を投下してきているということです。

 

展開エリアが異なるので一概比較できませんが、広告宣伝費はこんな感じです。

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どれだけTrivagoが気合いを入れているかわかりますね。
(ご察しの通り、Trivagoは営業赤字です。)

もう一つちなむと、トリバゴはグローバルOTAの巨人Expediaの子会社です。

 

さて、話を元に戻します。

 

乱立する旅行(OTA)比較サイトですが、実際「トラベルコ」はどのような位置づけなんでしょうか。

いろいろ調査していたことろ、前述の日経トレンディが昨年10月に調査を行ってくれていました。

その調査結果の結論を言うと、「トラベルコ」が一歩リードだそうです。

インバウンド顧客をメインターゲットにしているTrivagoに掲載されているのは、どうしてもインバウンド顧客がいくエリアに偏っており、日本人目線では十分な面をカバーできていないそうです。

詳細が気になった方は、日経トレンディをご購読ください。

 

戦略志向

そんな競合優位のポジショニングに立つ「トラベルコ」が、どんな戦略を志向しているかについて見ていきたいと思います。

 国内&アウトバウンド

国内&アウトバウンドについては、徹底的な全方位戦略です。

旅行に関することは、すべて「トラベルコ」内で完結させ、利便性を追求しています。

海外Wi-Fiまで比較できるのは嬉しいですね。

ここまでくると、現地体験(いちご狩りなど)なんかも比較予約できる日も来る気がしますね。

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インバウンド

そして、次なる狙いは2030年には6,000万人を目指すと政府に言わせているインバウンドです。

この辺はうまく外部を活用しながら進めていく常套手段を使いながら、成長を志向しているという形でしょう。

小さく「台湾最大手の旅行会社 Lion Travel と連携開始」と書かれていますが、インバウンド顧客を国別で見たときに高いシェアである台湾人に対して、台湾の巨人を通してアクセスできるのはかなりポジティブです。

ちなみに、「トラベルコ」はAirbnbとも連携しているようです。

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目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価について書いておきます。
「EBITDA成長率」「EBITDA倍率」という2つ変数で目標株価について算出したいと思います。

前提

EBITDA Margin :FY2018値である30.4%が今後も一定と仮定
Net Debt :FY2018値である-35.5億円(無借金経営)が今後も一定と仮定
少数株主持分 :FY2018値である0億円が今後も一定と仮定
発行済み株式数 :2018年5月23日現在の31,260,000株が今後も一定と仮定

ケース

EBITDA成長率 :FY18-16のEBITDA CAGRである17.0%、FY18-14の売上高CAGRである22.4%、左記の平均値である19.7%の3ケース
EBITDA倍率 :現在値である49.4x、類似企業であるカカクコムの20.0x、左記の平均値である34.7xの3ケース

試算結果

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最大ケースでは、3,645円となりました。

まず、現状のEBITDA倍率が49.4xとかなりのお化け水準になっています。

これは、高成長なくして正当化されない水準です。

表からも分かる通り、成長率が17.0%でもカカクコムと同水準のEBITDA倍率になった瞬間に、現状の株価2,040円から一気に-30%となります。

非常に有望な企業である一方、僕自身はこの水準の銘柄には手を出せないかなという結論です。

マルチプルが下がれば、ぜひ投資したい銘柄でもあるので、引き続きウォッチはしていきたいと思います。