経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

オープンドア(3926)企業分析①

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今回も読者の方からリクエスト頂いた企業について分析を行いたいと思います。

今回分析するのは、オープンドア(3926)です。

企業概要

オープンドアは、CMでお馴染みの旅行比較サイト「トラベルコ」を運営する企業です。
創業は1997年と意外と歴史がある企業(勝手に2000年代くらいの創業だと思っていました)で、現在は東証1部に上場しています。

時価総額は645億円程度です。(2018年5月1日現在)

事業概要

公開セグメントは単一セグメントとなっていますが、旅行比較サイト「トラベルコ」の他に、日本の“伝統工芸作品”の紹介サイトである「GALLERY JAPAN」も運営しています。

とは言え、IR情報を拾っていくと、売上のほとんどが「トラベルコ」だと思われます。

ここで、簡単に「トラベルコ」のビジネスモデルにも触れておきます。

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JTBやKNT-CTホールディングスなど、実際に店舗を持つReal Travel Agent(RTA)に対して、楽天トラベルやじゃらん、海外のBooking.com、エクスペディアなどの店舗を持たないOnline Travel Agent(OTA)が急速に成長し、市場の主導権を握りました。

RTAに対して、ホテルや宿は、特定の部屋を、特定のRTAのためだけに確保しておく必要がありました。
そして、その特定の部屋が売れ残った場合、容赦なく返品されるという市場構造が長年続いていたのだとか。

それも巨人JTBの前に、ホテル・宿はなすすべもなく、彼らの作ったルールに従うしかありませんでした。

しかし、インターネットとOTAの功績もあり、ホテル・宿は、自分主導で提供する部屋を気軽に掲載・変更できるようになりました。

そうなると、ホテル・宿は「とりあえず全部のOTAに掲載し、予約が入ったら掲載をやめる」という動線になるため、掲載部屋数という点で、OTA間の差はほとんどなくなって来ている感じでしょうか。

ここまで来ると、差が出るのは"価格"です。

でも、数あるOTAのサイトを一つ一つチェックしていくのは面倒くさい。

 

そこで登場するのが「トラベルコ」です。

そんなトラベルコがどのように稼いでいるかというのが下記になります。

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メインはアフリエイト収入で、トラベルコ経由で購入された旅行商品の手数料を、RTAやOTAからもらう仕組みです。

あとは、固定課金収入と広告収入と書いてありますが、成果に関わらず、掲載してあげるからお金払ってねというモデルで収入を得ているようです。

業績

肝心の業績は、これでもかと言うくらい綺麗な右肩上がりのグラフになっています。

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そして、なんと言ってもROSが30%を超えるお化け収益性

これは規模が拡大しても原価がほとんど変わらないという素晴らしいビジネスモデルのお蔭です。

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販促費は広告打ったりなどで横ばいでの推移となっておりますが、原価率は綺麗に右肩下がりになっています。
(逆に、攻めの投資ができているという点では、販促費率が横ばいというのはポジティブではないかと思っております)

 

ここまで、ざっと企業概要や事業モデルについて見てきました。

次回は、競争環境や戦略志向を踏まえ、オープンドアが本当に魅力的であるか否かについて見ていきたいと思います。