さて、前回の続きです。
(前回行いましたメディアフラッグの企業分析はこちらになります)
戦略志向
前回の記事にて、既存のメディアフラッグ事業は成長性および収益性ともに低水準であると述べました。
そうした状況を打開すべく、どのような打ち手を考えているかを見ていきたいと思います。
メディアフラッグの戦略はこれまで人海戦術的に収集してきたアナログ情報に、画像診断により収集してきたデジタル情報を基に、店頭販促策をプロデュースしていくというものです。
ビッグデータやAIなど、流行りの言葉がふんだんに使われていますが、この辺は現時点では真に受けない方が良いでしょう。
そもそもビッグデータとは明確な定義がなく、言ってしまえば「たくさんデータ」です。
Amazonの指すビッグデータと、メディアフラッグのそれとは大きく異なります。
さて、正直なことろ、この戦略がちゃんとワークするかで言うと、僕はちょっと厳しいのではないかと考えております。
理由はこのABEJAというベンチャーのサービスです。
ABEJAのサービスは店内に数カ所カメラを設置し、入店から購買までの顧客の行動を可視化するというものです。
ディープラーニングにより画像を解析することで、どの性別のどの年齢の人が、どういう導線で、どの商品に辿り着いたかが分かります。
これはAmazon Goに使われている技術と同じ感じですかね。
また、ABEJAのすごいことろは、店舗にある既存のPOSと連携することで、商品に辿り着いた後に、誰がどのアイテムを買ったかというところを明確化できるわけです。
店舗の要所要所にカメラを設置し、かつPOSなどと連動しながら付加価値を増加させるABEJAと比較し、特定の棚だけの情報に留まるメディアフラッグでは、どちらの方が競争優位性があるか明らかです。
その他の営業支援や流通支援については、基本的にMS&Consaltingと同様の考え方になると思いますので、こちらをご覧頂ければと思います。
株価推移
株価は2015年5月ごろに直近3年高値をつけてから、株価が低迷。
高値の半値以下である400-600円のレンジで2017年末まで推移し、直近はそのレンジを抜けた形になっています。
業績は芳しくないものの、やはり2015年時に付けた高値がアンカリングになっており、「その辺を目指すのでは!?」という期待を生み出しているのかもしれません。
目標株価
最後に簡易的ではありますが、目標株価について書いておきます。
「EBITDA成長率」「EBITDA倍率」という2つ変数で目標株価について算出したいと思います。
前提
EBITDA Margin :FY2017値である7.3%が今後も一定と仮定
Net Debt :FY2017値である-0.4億円(無借金経営)が今後も一定と仮定
少数株主持分 :FY2017値である0.2億円が今後も一定と仮定
発行済み株式数 :2018年1月6日現在の4,966,494株が今後も一定と仮定
ケース
EBITDA成長率 :FY14-17のEBITDA成長率である-8.4%、FY16-17のEBITDA成長率である-3.5%、FY15-17のEBITDA成長率である11.6%の3ケース
EBITDA倍率 :現在値である9.7x、類似企業であるMS&Consultingの10.3x、売上高100億円未満の市場調査企業の平均値である20.4xの3ケース
※市場調査企業:メディアフラッグ、GMOリサーチ、バルクホールディングス、マークラインズ
試算結果
最大ケースでは、2,566円となりましたが、これは超絶ポジティブケースです。
現実路線は700-900円程度かと思います。
9.4xというのは決してバリュエーションが低いわけでもないですし、そもそもマイナス成長していること、そして戦略的にも競争優位性がみえないことを踏まえるとこの辺に落ち着くのではないかとも思います。