経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

日本アセットマーケティング(8922)はどこに向かうのか?

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日本アセットマーケティングはどこに向かうのか?

株価が長期的に停滞している日本アセットマーケティング。
その業績の伸びや高収益性にも関わらず、株価は冴えないまま。

そもそも日本アセットマーケティングはどこに向かっているか。
今回は、ドンキホーテは何を目的に日本アセットマーケティングを買収したのか、ということろから紐解いていこうと思います。

※日本アセットマーケティング=旧ジアース

当社においては、今般の新規出店及び地方展開による店舗の大型化に伴い、多くの不動産を所有するに至っており、当社及びその関係会社の所有する不動産の効率的な運用を図る必要が生じていると考えております。このため、ジアースからの資本業務提携の申し入れを踏まえ、ジアースが有する不動産に関する知見及びノウハウの提供並びにこれらに基づく助言を受けることを目的とする資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といいます。)を締結し、エルエヌがジアースの第三者割当増資により同社の新株式を引き受けることといたしました。

出所:「株式会社ジアースとの資本業務提携契約の締結及び当社連結子会社による第三者割当増資引受け (孫会社化)に関するお知らせ」(2013年3月1日)(http://www.donki.com//shared/pdf/ir/ir_kaiji_shiryou/159/130301_4gHmH.pdf

上記から、2つのパターンが考えられます。

まず1つ目は、自社不動産のオフバランス化
店舗を拡大していく上で、その不動産を自社で抱えることは大きなリスクになる。
仮に出店戦略が外れたり、業績が傾いたり(景気悪化などの外部影響含む)した時に、オフバランス化しておけば、すぐにお店を畳める。

シェアリングエコノミーが流行り、自社オフィスさえも保有しない企業がいる時代ですから、割りかし時代に即した打ち手のように思えます。

そうなると、連結子会社化しておくのは完全なオフバランス化とは言えない(自社で保有しておくよりはマシですが)ので、階的な切り出し(=保有株売却)がネクストアクションになる。

ところが、ご存知の通り直近で第三者割当増資を引き受けています。
これは上記のパターンと完全に逆の動き。

となると考える2つ目のパターンが有力になります。
それが、不動産運営ノウハウの内省化です。

プレスリリースを額面通りと捉え、かつ直近の第三者割当増資を踏まえると、日本アセットマーケティングに不動産を集約し、効率的な運営をすることで、どれほどのプロフィットを享受できるかを確認しながら、効果に応じて徐々に不動産を移管しているように見えます。

日本アセットマーケティングの業績を見る限り、しっかり効果が出ています。
いずれは親子上場という奇異な状況を解消することが必要になってくると思われるので、内省化(=100%子会社化)がネクストステップになるのではないかと思います。

100%子会社化するなら揉め事化必至か!?

TOBをすると登場していくるのがアクティビストファンド。
直近だと、パナソニックによるパナホーム完全子会社化の際に揉め事が起きました。

biz-journal.jp

ファンドの主張としては、「その買取価格、安過ぎるだろ」というものです。

実は日本アセットマーケティングも2016年にファンドから株主提案が行われており、その理由は「株価、割安で放置し過ぎだろ」というものでした。

prw.kyodonews.jp

スター・アジア・パートナーズによると、理論株価から73-83%のディスカウントになっているんだとか。(2016年6月8日時点)

同社の好調な業績を考えるとあまりにも低い価値評価である。例えば、東証不動産業株価指数(TPREAL)と東証REIT指数(TSEREIT)のPE倍率は、それぞれ20.9倍と32.8倍(共に2016年3月31日付)である。仮に東証不動産業株価指数と東証REIT指数のPE倍率を同社の2016年3月期通期の1株当たり当期純利益に掛け合わせると、同社の理論株価はそれぞれ424円と666円となり、現状の株価はそれぞれ73%と83%のディスカウントとなっている。

実際にこの理論株価が正しいかどうかは置いておいて、少なからずこうした主張をするということは、誰かしらが声を大にして「もう少し買取価格上げようや!」と言いそうですね。