経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

MS&Consulting(6555)企業分析②

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さて、前回の続きです。
(前回行いましたMS&Consultingの企業分析はこちらになります)

www.con-invester.com

競争優位性と課題

ここでは、MS&Consultingの競争優位性と課題について分析したいと思います。

まず、顧客満足度調査。
前回も書きましたが、MS&Consultingが調査と研修ノウハウを持っていて、それを一般モニターにインストールします。
で、その一般モニターが覆面調査員として調査を行い、品質の担保のため必要に応じてモニターが提出したレポートのメンテナスしクライアントに納品するというモデルです。

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この手の顧客満足度というものは、やはり自社調査で、しかも自社のみを調査したものでは信憑性がイマイチなので、他社比較できるというのが非常に大きな価値を持ちます。

コンサル業界でもよくやる技なのですが、企業を横断的に総務や人事、経理などの調査を行い、そこで得た情報を基に総務や人事、経理などのあるべき姿を描くと。
各社は決して他社の総務や人事、経理がどういう姿であるかの情報は取り得ないなので、非常に価値があるわけです。

そして他社比較した結果のあるべき姿というのは外部者しかできない世界なので、MS&Consultingが「正解」を作れるわけです。

ですが、アマゾンや楽天などが持つデータとは経路が異なり、MS&Consultingが蓄積しているデータというのは飽く迄自社の評価基準に沿って、モニターの人たちが取ってきた定性的な情報です。(定性情報を集めて定量化することはあるかと思いますが)

ですので、先行でデータを蓄積している=競争優位性があると必ずしも言えないかなと。
また、調査を行う人員を自社で囲っているわけではないので、似たような企業が参入してきた時に、調査人員に依頼する金額(コスト)が急騰するリスクは孕んでいます。
(まぁそのリスクで言うと、似たモデルの参入というより、HRテックベンチャーなどがテクノロジーを駆使して参入してきそうな気がしますね。)

戦略志向

さて、そんなMS&Consultingですが、①顧客数の拡大②コンサルティングへの付加価値シフトという方向性になるのではないかと思います。

①顧客数の拡大

まだまだ若い会社ですので、まずは顧客数を拡大していくという方向になるのでしょう。

下記の通り、現状も顧客数は順調に伸びています。

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また、この戦略実行は加速するべく、ぐるなびとの提携も発表されました。
(リクエスト頂いた読者の方も注目されていたニュースです)

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MS&Consultingは社員数130名規模の会社ですので、地道に顧客を開拓していこうとすると、どうしても人手が足らない。
一方のぐるなびは、それはもう国内トップレベルの飲食店への営業網ですので、追加コストを掛けずに、MS&Consultingのプロダクトを売れるわけです。
まさにwin-winの提携なわけです。

コンサルティングへの付加価値シフト

とは言え、前述の通り純粋な調査であれば、決して競争優位がある事業とは言い難いです。
ですので、付加価値を生み出す場所を調査からコンサルティングへの徐々にシフトしていく必要があるかなと思います。
(HPやIR資料には、一応コンサルティング業務を行っているとの記載はありますが、まだまだ限定的かなと)

企業の今後を予測する上で、他業界を動向からアナロジーで考えるのは非常に有用です。
まさに前回書きましたが、シンクタンク業界で同じことが起こりました。
(市場調査から徐々にコンサルティングへ付加価値をシフト)

MS&Consultingがそこまで脱皮できるかというのは今後の大きな分岐点になると思います。

目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価について書いておきます。
「EBITDA成長率」「EBITDA倍率」という2つ変数で目標株価について算出したいと思います。

前提

EBITDA Margin :FY2017値である20.0%が今後も一定と仮定
Net Debt :FY2017値である-2億円(無借金経営)が今後も一定と仮定
少数株主持分 :FY2017値である0.1億円が今後も一定と仮定
発行済み株式数 :2018年1月6日現在の4,560,000株が今後も一定と仮定

ケース

EBITDA成長率 :FY13-17の調査件数のCAGRである6.9%、その半分の成長率、ゼロ成長の3ケース
EBITDA倍率 :売上高100億円未満の市場調査企業の平均値である20.4x、類似企業の平均値と現在値との中央値である15.3x、現在値である10.3xの3ケース

※類似企業:メディアフラッグ、GMOリサーチ、バルクホールディングス、マークラインズ

試算結果

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 最大ケースでは、2,933円という試算になりました。

ただ、これは超強気な目標値だと思います。
実際、EBITDA倍率20xといのはかなりバブっている値と言っても過言ではないので、まぁ2,000-2,400円水準が一つのターゲットになるかなと思います。
(MS&Consultingの倍率が低いというよりも他社が高過ぎるように思います)

但し、これまで何度も書いている通り、既存事業にそこまで競争優位性が高くなく、成長シナリオが崩れる可能性も十分に加味しておく必要があるかなと思います。