経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

ぐるなび(2440)企業分析②

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さて、前回の続きです。
(前回行いましたぐるなびの企業分析はこちらになります)

www.con-invester.com

戦略志向

前回も書きましたが、飲食店ポータルサイトの二大巨人の一角であるぐるなびにとって、会員や加盟店を増やしていくという従来型のやり方での成長は限界を迎えようとしています。

その中で、ぐるなびの目指す方向性としては「飲食店の業務改善支援」および「飲食店の成長支援」です。

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上記のIR資料で言うところの飲食店販促支援の強化、販促以外の業務支援が「飲食店の業務改善支援」、飲食店多角化支援および新規事業が「飲食店の成長支援」にあたります。

こうした戦略実現に向けて、他社とガンガン提携を進めているのもぐるなびの特徴の一つです。
決済型手数料ビジネスでは、旅行口コミサイト(OTA)グローバル大手のTripAdvisorや出張・経費管理クラウドサービスのConcur社と提携しています。
また、予約台帳(ぐるなび台帳)では、同じく飲食店業務支援を行うベンチャー企業トレタのシステムと連携できるようにしています。

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そして、レッドオーシャンの中で頑張る飲食店の更なる成長を支援するべく、多角化支援まで事業領域を拡大しています。

そして、食べログや競合相次ぐベンチャーにはなく、ぐるなびにある競争優位性は1,000人のサポート人員です。

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飲食店の業務に深く関わっていく中で、やはり人を張らざるを得ない。
張らずして飲食店のニーズを汲み取り、或は関係性を構築して更なる協業に発展させるのは難しいと思われます。

株価推移

そんなぐるなびですが、株価は冴えません。
現状は2016年8月の高値の半値以下で推移している状況です。

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やはり、ユーザーとして見れば圧倒的に食べログの方が使われているので、「いやー、やっぱり食べログでしょう。ぐるなびの時代はもう終わったよ」というある種の固定概念が働いてしまっているんじゃないかなと。

実際に、月間ユニークユーザー数は食べログが10,429万(2017年3月時点)であるのに対して、ぐるなびは6,100万(2016年12月時点)です。
倍とまでいかないまでも、大きく水をあけられている状況です。

一方、有料加盟店数は、食べログが5.3万店に対して、ぐるなびは6.1万店です。
そして、これまで見てきたように、今後の成長余地で言うと、ぐるなびの方が優位という状況があるので、そうした実態が株価に反映されていないと思う訳です。

目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価について書いておきます。
「EBITDA成長率」「EBITDA倍率」という2つ変数で目標株価について算出したいと思います。

前提

EBITDA Margin :FY2017値である25.0%が今後も一定と仮定
Net Debt :FY2017値である-82億円(無借金経営)が今後も一定と仮定
少数株主持分 :FY2017値と同様に今後もゼロと仮定
発行済み株式数 :2018年1月6日現在の48,675,100株が今後も一定と仮定

ケース

EBITDA成長率 :FY15-17LTMのEBITDAのCAGRである6.3%、その半分の成長率、ゼロ成長の3ケース
EBITDA倍率 :売上高150億円以上のポータルサイトを運営する類似企業の平均値である13.0x、類似企業の平均値と現在値との中央値である9.6x、現在値である6.2xの3ケース

※類似企業:プロトコーポレーション、カカクコム、エイチーム、アイスタイル、クックパッド

試算結果

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最大ケースでは、3,140円という試算になりました。
ちょうど2016年8月の高値水準になりました。

類似企業と比較してマルチプルが低いことや、その一方で、EBITDAや売上高は堅く成長していることを踏まえると、現状が底値水準なんじゃないかなと。
(なんとかショックで市場全体が崩れない限り)

また、ぐるなびは株主還元もかなり積極的でFY17では自己株買い+配当で約70億円使っています。(営業キャッシュフローが約60億円であることを考えるとかなり積極的なことが分かります)

ですので、高配当貰いながら値上がりを待てるわけです。
長くなりましたが、結論はBUYです。