経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

企業分析力向上のためのオススメ書籍8選

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企業分析力を向上するためのオススメ書籍について何人かの読者の方からリクエスト頂きましたので、改めて纏めたいと思います。
(リクエスト頂いた読者の方々、有難う御座います。そして、回答が遅くなり申し訳ありませんでした。)

今回オススメする本は大きく定性分析、定量分析、哲学の3つのカテゴリに分かれています。
できれば全カテゴリの本に目を通して頂きたいのですが、ご自身の向上させたい能力に応じて傾斜を付けて読んで頂ければと思います。

定性分析力向上のためのオススメ本3冊

企業分析を行う上で、財務諸表や株価という定量面を見るだけでは不十分だと考えています。
数字は飽く迄結果なので、未来の企業の成長を予測するためには定性分析が欠かせません。
僕自身は戦略コンサルというバックグラウンドがありますが、金融の職歴は一切ありません。ですが、実際にバイサイド(資産運用会社)からオファーを貰うことがあります。
それはコンサル的な定性的な企業分析力が評価されてのことだと思うので、皆さんにも是非コンサル的な本をご紹介したいと思います。

「ビジネスモデル」の教科書

マッキンゼー出身の大前研一氏の本で、第一章では企業分析の技術、第二章ではケーススタディとして12社の企業の戦略を分析しています。
この本の良いところは、ケーススタディで事実だけを纏めるだけではなく、事実からその企業の戦略がどうあるべきかまで明言されています。
ちなみに、ケーススタディではコカ・コーラ、ローソン、Uber、任天堂、キャノン、シャオミ、ゼンショーホールディングス、クックパッド、日本経済新聞、Airbnb、ニトリホールディングス、島精機製作所が取り上げれております。
内視・外資、急成長・停滞など幅広い企業が取り上げられているのがオススメポイントです。

BCG戦略コンセプト

 BCGの元日本代表である水越豊氏の本で、企業が競争優位性を確立するための戦略コンセプトについて纏められている本です。
先ほどのケーススタディを豊富に取り扱っている「ビジネスモデル」の教科書とは異なり、理論をコンパクトに纏めた本になっています。
前述の通り、企業は戦略を立て、それを実行し、その結果として業績や株価があります。従って、戦略を紐解けるようになれば、それだけ業績や株価を予測できる精度が上がります。
ケーススタディ好きからすれば中盤くらいから退屈になってしまうかもしれませんが、一度頭に入れておけば、間違いなく新たな視点を持って企業分析に臨めると思います。

MBAより簡単で英語よりも大切な決算を読む習慣

決算書を読むというと「簿記持ってないしな・・・」と身構えてしまうかもしれませんが、本書は有価証券報告書や決算短信ではなく、決算説明会資料を読むことにフォーカスしています。
たしかに有価証券報告書や決算短信は簿記を勉強すれば読めるようになりますが、決算説明会資料の読み方って、どうやって学べばいいかって確立されてなかったように思います。(しかも決算説明会資料は各社のIRが頑張っているので、実際に意義のある示唆を読み取れていなくても分かったようになってしまっているような!)

定量分析力向上のためのオススメ本3冊

とは言え、最終的な僕ら投資家の目的は株価上昇によって儲けること。
そのためには数字を理解しなければ始まりません。

定量分析というと必要以上に身構えしまう人が多いと思うので、今回は入門編の本を紹介したいと思います。
入門編として非常に分かり易い本ですが、内容はかなり濃く、僕自身も何度も読み返してきた本です。

財務3表一体理解法

もうこれは、本当に素晴らしい本です。
僕は簿記2級を持っているのですが、正直簿記2級取るくらいなら、この本を繰り返し読む方が遥かに有意義です。
複雑になりがちは財務諸表について、こんなにも分かり易く解説できるなんて驚きです。
肝心の内容ですが、基礎編として財務3表の繋がりを解説した上で、応用編では自身が事業主という立場である取引をした場合に財務3表がそれぞれどう動くかが丁寧に記載されています。
事業主として様々な取引を重ねながら、徐々に内容のレベルが上がっていくのも非常に分かり易く、読み手としては有りがたいの一言です。

パンダをいくらで買いますか?

僕らが日々投資している会社の価格は一体何に基づいて高い・低と言われているのか?
この問いにパッと答えられない方に是非とも呼んで頂きたい本がこの「パンダをいくらで買いますか?」です。

会社もパンダも仮に価格をつけようとすると、それを算出するファイナンス理論は一緒です。
実際はすごく簡単なことでも、財務3表同様に、なんでも難しくしてしまうのが金融業というものです。
対象をパンダという身近に感じやすいものに置き換え、ストーリー仕立てでファイナンスを学べる本です。

会社の値段

「パンダをいくらで買いますか?」をステップ1とすると、この「会社の値段」はステップ2というところでしょうか。
この本の中でも、決して難しいことは語られていないのですが、多くの人が普段しっかり考えずに見てしまっている株価やPER、そして僕自身がブログでも活用しているEBITDAについて新たな視点を与えてくれると共に、米国でのM&Aアドバイザリー経験のある著者ならではの、市場との向き合い方についての示唆を与えてくれます。

哲学形成のためのオススメ本2冊

やはり自身の大切な資産を掛けるとなると様々な感情と向き合うことになります。
それはベテラン投資家も同様です。
その中でしっかりと利益を積み上げていける人は、やはりその哲学がしっかりしており、一貫した投資ができていると思います。
今回は僕自身が強く感銘を受けた2冊を紹介したいと思います。

生涯投資家

「村上ファンド」と共に有名になった村上世彰氏。
逮捕劇にまで発展した村上氏ですが、その渦中で何を考え、何を思っていたか。
日本経済界へのコーポレート・ガバナンス浸透に人生を掛けて挑んだ村上氏の投資哲学に脱帽です。
村上氏のように信念を持って投資に挑みたいものです。
超、オススメです。

ピーター・リンチの株で勝つ―アマの知恵でプロを出し抜け

 全米NO.1ファンドマネジャーとまでいわれた株式投資界の伝説、ピーターリンチ。
1977年から1990年の13年間で、2000万ドルだったマゼラン・ファンドを140億ドルという驚異的なファンドに育て上げたという実績を持ちます。
長期投資家として有名なピーターリンチのその投資哲学や、有望株の探し方などが凝縮された一冊です。
ユーモアのある文章で読み物としても非常に面白く、僕自身も何度も読み返している素晴らしい本です。
ちなみに、僕はウォーレン・バフェットよりもピーターリンチ派です。