経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

京浜急行電鉄(9006)企業分析③

スポンサーリンク

これまで2回におよび京急の分析を行ってきましたが、今回が最後になります。
(過去2回の分析はこちらになります)

www.con-invester.com

www.con-invester.com

業績おさらい

これまで売上規模や利益率について同業他社比較で見てきたので、おさらい的な意味も含めて京急の経年での業績を見ておきたいと思います。

f:id:con_invester:20171225213001p:plain

実は直近でROSが大きく上昇しており、それまではROSが10%を下回る水準で推移していました。
ROSが上昇した要因としては、不動産事業の収益上昇があるようです。

f:id:con_invester:20171225213912p:plain

一方で、御覧のようにFY2016には不動産事業で大きな赤字を計上しています。
この原因を「三浦市三戸・小網代地区の大規模宅地開発事業の凍結決定に伴い、多額のたな卸資産評価損」としています。
三浦市を活性化させようという想いとは裏腹に、人口減少と地価減少により凍結せざるを得なかったようです。

www.sankei.comそんな、厳しい判断もありましたが、FY2017では羽田空港周辺エリアに賃貸マンションを取得するなどし、営業利益は大きく上昇しています。

指標比較

次いで京急と同業他社のEBITDA倍率も見ておきましょう。

f:id:con_invester:20171225222721p:plain

比較すると残念ながら高い水準であることが分かります。

前述の通り、決してガンガン成長してるわけではないので、PER26.9x、EBITDA倍率14.7xは少し割高な感じもします。

目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価について書いておきます。
「EBITDA成長率」「EBITDA倍率」という2つ変数で目標株価について算出したいと思います。

前提

EBITDA Margin :FY2016値である21.8%が今後も一定と仮定
Net Debt :FY2016値である3,904億円が今後も一定と仮定
少数株主持分 :FY2016値である5億円が今後も一定と仮定
発行済み株式数 :2017年12月25日現在の275,760,547株が今後も一定と仮定

ケース

EBITDA成長率 :FY15-17のEBITDAのCAGRである3.9%、ゼロ成長、FY15-17の売上高CAGRである-0.6%の3ケース
EBITDA倍率 :競合最大値である16.6x、京急の2017年12月25日値である14.7x、競合企業平均である12.3xの3ケース

試算結果

f:id:con_invester:20171225223007p:plain

最大ケースでは3,145円と試算された一方、最小ケースでは1,536円という試算になりました。
やはり首を引っ張っているのはバリュエーションの高さですね。

これまで何度も書いていますが、鉄道各社とも強烈な成長が期待できないので、株価が上がるモデルとしては「バリュエーションの改善がメインで、あわよくば利益成長も・・・」という感じでしょうか。

逆に言うと、バリュエーションが低い鉄道銘柄は投資妙味があるのかもしれません。
この辺も折角なのでおいおい見ていきたいと思います。