経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

サン・ライフ(4656)企業分析②

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さて、前回の続きです。
(前回行いましたサンライフの分析はこちらになります)

www.con-invester.com

財務状態

サンライフは無借金なので、現金および同等物=Net Debtになります。
時系列で見ても常に時価総額の2倍程度の現金を保有している状況です。

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そこで株主を見てみると、創業家で50%弱を占めており、その他の株主の力が及ばないような状況になっている可能性が見えてきました。

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希望の光としては、1%強ですが日本生命や東京海上等の大手機関投資が株主として存在していることです。
機関投資家としてスチュワードシップコードが叫ばれる昨今において、サンライフは間違いなく議論にあがる企業だと思います。

もう一点、創業家の引退について。
ボードメンバーに入っている創業家は3名です。
会長の竹内恵司氏、恵司氏の配偶者であり、取締役相談役である竹内伸枝氏、二人の次男である取締役の竹内圭介氏です。
恵司氏は81歳、伸枝氏は78歳ですので、そろそろ現役を退いてもおかしくない年齢です。
圭介氏はまだ43歳ではありますが、既に創業家以外が代表取締役を担ったという実績ができたこと、経歴が会長の恵司氏が理事を務める鶴嶺学園での勤務が主であること、を踏まえると、両親の引退を機にガシガシ実権を握っていくとは考えにくいです。
そうした”脱創業家”の中で、少しでも株主重視の経営に舵をきって欲しいですね。

もしくは村上世彰氏が言う様に、MBOして非上場化すべきです。MBOしても60億円分の現金が残ります。

株価推移

株価は3年間まったく伸びていませんね。

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EBITDA倍率を見ようと思ったのですが、保有現金が時価総額を大幅に上回っており、企業価値がマイナスになるので、算出できませんでした。
(企業価値=時価総額+Net Debt+少数株主持分)
企業価値がマイナスってやばいですよね。これが現金を持ち過ぎることの弊害です。

戦略志向

今後の戦略志向として、色々IR上で語っていますが、目玉は①ホテル専門部門のブランドアウトソーシング、②介護事業の体制強化・M&Aでしょうか。

①ホテル専門部門のブランドアウトソーシング

詳細な中身は言及されていないので、飽く迄妄想ですが、要はホテル事業の縮小ということだと理解しています。
前回見たように、ホテル事業はその他の事業との繋がり(シナジー)が薄く、また平安レイと同事業を比較した場合、圧倒的に収益性で劣っている状況です。
加えて、過大評価した資産の売却損や減損が全社の純利益を押し下げている元凶でもあります。
こういう事業は切り離していくというのが自然の発想でしょう。ですので、IR資料にそれっぽい内容が記載されているのは非常にポジティブです。

②介護事業の体制強化・M&A

一方、介護事業は葬儀事業と非常に相性が良いだけでなく、平安レイと同事業を比較した場合、収益性が圧倒的に優れています。
また、ホテル事業(冠婚事業)と違い、今後介護事業は市場の伸びが予測されています。

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しかも強化方法として潤沢な資金を使ってM&Aを活用していることもポジティブなポイントです。

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目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価について書いておきます。
サンライフのケースでは、企業価値がマイナスであるため、これまでのように「EBITDA成長率」「EBITDA倍率」という2つ変数では当然マイナスバリューとなってしまうので、今回は「保有現金」「EBITDA倍率」の2つを変数としたいと思います。

前提

売上高、EBITDA margin、少数株主持分

FY2017値が一定と仮定

発行済み株式数

7月13日時点と同様に6,820,000株と仮定

ケース

保有現金

競合の保有現金から本来的にビジネス運営に必要と想定される現金を算出します。
ロジックとしては、「これだけの売上を上げるためにはこのくらいの現金を手元においておく必要がある」ということで、葬祭関連事業者の平均は33.5%でした。
とは言え、これは飽く迄理想的な水準なので、この水準に10%増、20%増をケースとして想定しておきます。(つまり、現金売上比率が33.5%、43.5%、53.5%の3ケース)

EBITDA倍率

こちらも保有現金同様に葬祭関連事業者の平均11.6x、葬祭関連事業者のうち売上高が100~200億円の企業の平均5.8xとその両数値の平均である8.7xの3ケース

試算結果

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最大ケースは2,819円となりました。
僕個人としてはこの水準は極めて現実的な水準だと思っています。
そこには勿論保有現金をしっかりと株主に還元するという前提が付きますが、時代の流れとしてコーポレートガバナンスが叫ばれていること、創業家の引退がそう遠くないと想定されることなどが、この前提を後押ししてくれると思っています。

仮に、しばらく現金を抱え込んだままだったとしても、本業に稼ぐ力があるので、その辺もある種の保険になるかなぁと。という訳で、Buyですね。