今回はサンライフ(4656)の分析を行いたいと思います。
先日書いた記事で、村上世彰氏が注目する「時価総額に占める現金および同等物の割合」で企業をスクリーニングしたところ浮かび上がってきた銘柄です。
サクッと業績を確認したところ、時価総額が保有現金の半分の価値しかないことに違和感があったので、今回分析することにしました。
企業概要
サンライフは東証2部上場で、時価総額は65億円(2017/7/10現在)です。
以前分析した平安レイのド競合で、式典事業(葬祭・法要)、ホテル事業(ホテル・ブライダル)、その他事業(介護・有料老人ホーム)を展開しています。
事業展開地域も東京・神奈川エリアと、バチバチの競合関係にあります。
売上比率としては、式典事業が68.3%、ホテル事業が23.8%、その他事業が7.9%となっています。
業績
全社業績
売上高は5年間ほぼ横ばいで推移と言った形です。
EBITDAは微減傾向で推移ですが、それでもなおEBITDA marginが16.8%あり、毎期本業で20億円程度のキャッシュを生み出している状況です。
ここまで本業でキャッシュを生み出せるのに、平安レイを分析した際「平安レイよりサンライフは割高だなぁ」と思った背景にはPERがありました。
サンライフは継続的に特別損失を出しており、その結果PERの分子である純利益が押し下げられ、PERが高く出てしまっていました。
(PERに死角があることについては以前のブログで書きましたので、そちらを参照ください)
FY2013の固定資産売却損は八王子に所有していたホテルの土地が、FY2016の減損損失は平塚に所有しているホテルの土地やら建物が損失の根源になっているようです。どちらもホテル事業なんですね。
セグメント別業績
セグメント別のROSを見てみると、ホテル事業が圧倒的にイケていないことが分かります。
平安レイと同様に「人のライフイベント」を事業ドメインとしていますが、ホテル事業(冠婚)は葬式事業と介護事業のような強い繋がりがなく、若干浮いています。(平安レイは人材や物流の面でシナジーを創出していますが)
ですので、ホテル事業は売却や減損等の膿出しでどんどん縮小・切り出しの方向に舵を切った方が良いと思います。(この辺の戦略はまた次回詳述します)
下記はサンライフと平安レイのROSをセグメント別に比較したものになります。
葬祭事業(式典事業)は直近では平安レイに差を付けられているものの、両社とも高い水準にあります。
一方、介護事業(その他事業)ではサンライフが高収益事業として優位性が見て取れます。
但し、サンライフの問題児である冠婚事業(ホテル事業)は営業赤字を出していますが、平安レイはばっちり高収益を確保している状況です。
今後のサンライフが目指すべき方向性については次回詳述しますが、葬祭事業と介護事業だけ見れば、平安レイに劣らない稼ぐ力がありそうです。
時価総額の2倍の現金を保有しているということで炙り出されたサンライフですが、実は力強い本業を抱えており、割安で放置されている可能性が高いです。
次回は戦略志向やその他の株価指標を踏まえて、目標株価についてみていきたいと思います。