経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

割安を判断する指標としてEBITDA倍率が望ましい理由

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前回の企業分析から割安割高の判断をする指標として、PERからEBITDA倍率に切り替えました。

 我々バリュー投資家にとって、指標という一つの判断基準を切り替えることは非常に大きな意味を持つので、今回はEBITDA倍率が我々バリュー投資家の判断指標として相応しい理由について書きたいと思います。

EBITDA倍率とは?

EBITDA倍率とは企業価値がEBITDAの何倍かを表した指標になります。

算出式としては、EBITDA倍率=企業価値(時価総額+純有利子負債)÷ EBITDAになります。

EBITDAはEBIT(営業利益)に減価償却を足し合わせたもので、本業でどのくらいキャッシュを生んでいるかを簡易的に表したものです。

従って、EBITDA倍率は企業価値が本業で生み出すキャッシュの何倍であるかという風に言い換えることができます。

なぜPERではなくEBITDA倍率なのか?

PERは純利益をベースにしているため、非連続的なインパクトを受けやすいという性質を持っており、実態を把握するのが難しいためです。

企業運営していれば、ある年に特別益が出ることもあれば、今流行りの特別損が出ることもあります。しかしそれらの損益は飽く迄"特別"であり、企業の実力として毎期実現できるものではありません。
PERの場合はそれらの"特別"を含んだ値として算出されます。

一方、EBITDA倍率は本業で生み出すキャッシュをベースにしているため、企業の実力だけをベースに割安割高を判断することができます

日本商業開発(3252)の事例

簡単に事例を紹介したいと思います。
日本商業開発はFY2017において負ののれん発生益を計上しています。

負ののれん発生益は特別利益として処理されるため、PERの分子である当期純利益は大きく上昇し、結果としてPERが大幅に低下しています。
(当期純利益が68億円であるのに対して、負ののれん発生益46億円)

但し、この純利益の増加は一時的なものであり、今後連続的に期待できる実力ではありません。

その辺はEBITDA倍率を見れば明らかで、FY2017においてはむしろ割高方向に動いていることが分かります。

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もちろんEBITDA倍率も万能ではありませんが、少なくともPERよりは死角が狭いと言えそうです。(EBITDA倍率の死角についてはまた今後書きたいと思います。)