今回は読者の方からリクエスト頂きましたJESCOホールディングス(1434)の分析を行いたいと思います。
JESCOホールディングス(以下、JESCO)は東証2部上場で、時価総額は28億円(2017/5/26現在)
企業概要
JESCOは電気設備、情報通信設備等のEPCを提供する企業になります。
EPCとはEngineering, Procurement and Constructionの略で、建設業務においてエンジニアリングの設計、資機材調達、製作、建設工事を含む一連の工程を請け負う事業者を指します。
例えば、高速自動車道ETC設備工事だとか、ショッピングモール向け移動体通信工事だとかを手掛けています。新興国では空港の電気工事を担っていたりするそうです。
事業概要
JESCOの事業セグメントは大きく3つに分かれています。
国内EPC事業(68.9%)、アセアンEPC事業(23.3%)、総合メディア事業(7.9%)の割合です。
国内・アセアンEPC事業は前述の通りですが、3つ目の総合メディア事業はお世辞にもイケているとは言えません。
イケてなさは後述するとして、ここでは総合メディア事業の内容について軽く触れておきます。
総合メディア事業は、大型ビジョンのシステム企画設計・販売、ロードサイドビジョンなどの大型ビジョン の運用・サービス・ レンタル・広告等を展開しています。
もう少し平たく言うと、競技場や球場等の大画面や、高速道路から偶に見える大画面の企画設計や広告等を展開している事業です。
業績
売上は順調に伸びていますが、営業利益が足元で減少している状況です。
セグメント別に見ると、売上高は国内、アセアン共にEPC事業が継続的に成長しています。
また、営業利益を見ると顕著ですが、アセアンEPC事業の成長ぶりには目を瞠るものがある一方、総合メディア事業が足を引っ張っている状況です。
業績からも分かる通り、総合メディア事業というのはかなり苦しい事業環境です。
膨大な情報が溢れる現代社会において、マスメディア広告に対する価値は大きく低下しています。
まだTVはCMを打つことで、広告主に信用力を付与するという価値がありますが、大型ビジョンの広告ではその効果さえ薄いと想定されます。
消費者の個々の趣味趣向を捉えてピンポイントで広告を打っていくネット広告が主流な中で、時代の流れに逆行している状況ですね。
株価
株価は2015年9月の直近最高値を付けてから、横ばいで推移している状況です。
実際、リクエスト頂いた読者の方もこの株価の伸び悩みにフラストレーションを感じられているようでした。
伸び悩みの原因を探っていくと、指標としての割高さがあるかもしれません。
売上高400億円以下のエンジニアリング企業とEBITDA倍率を比較した場合、JESCOは頭一つ抜け出している状況です。
これは東南アジアでプレゼンスを拡大するJESCOへの期待を反映している反面、競合と比較して割高で放置されている状況と言えそうです。
(なお、今回の分析からはPERではなく、EBITDA倍率を割安割高の指標として使いたいと思います。詳細については後日ブログを書きますが、EBITDA倍率はより実態を反映した指標となっています。)
アセアン事業で着実な成長が期待できるJESCOですが、指標面での割高さも少し気になるところです。
次回はJESCOの競争優位性や戦略を分析し、今後株価が伸びていくか否かについて書きたいと思います。