経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

株主優待は悪か

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先日、日経新聞に株主優待に関する批判的な記事が出るや、再び各種方面で議論が活発化しています。

www.nikkei.com

 

株主優待とは?

株主優待とは、企業が自社の株主にむけて、サービスや自社商品などを年に1~2回提供する制度です。

株主優待は日本独特の制度であり、冒頭の記事によると、導入している企業は日本が1,300社と超えるのに対して、米国は10社未満という現状のようです。

 

株主優待の問題点とは?

冒頭の記事では2点を問題として挙げています。

①個人投資家有利な株主優待の設計(=機関投資家軽視)②株主優待の魅力による株価の歪み

 

①個人投資有利な株主優待の設計

株の持分に応じて分配される配当金と異なり、株主優待は配当金ほど傾斜がつけられていません

株主優待が自社の製品やサービスでも、提携企業のものでも、そのコストは企業が負担することになります。

その結果は内部留保や配当金の減少という形で、株主の持分に応じて負担することになります。

これには納得できないというのが相対的に持分が多い機関投資家の主張です。

 

②株主優待の魅力による株価の歪み

以前の記事でご紹介した、正当化することが困難な水準のPERを持つヤクルト本社もそうですが、株主優待が魅力的な銘柄は、株価が本来的な企業価値を大きく上回るという現象が頻出しています。

 

株価が本来的な企業価値を反映していないと再編の足枷になったり、バブルの原因に成りかねないという、世界平和志望者のような主張です。

 

株主優待は悪か?

結論から申し上げると、僕個人としては以下の理由から「悪ではない」と考えています。

①市場は機関投資家のものではない

そのままですが、市場はみんなのものです。

たしかに株主優待は個人投資家有利な設計ですが、その他の条件を見れば機関投資家の方が有利な側面が多数存在します。

株主優待という一側面だけ切り取り、誰に有利不利を議論するのは建設的ではありません。

仮に、健全ではない株主優待を行い、本来内部留保や配当に回るはずの資金を食いつぶしているのであれば、そんな頭の悪い企業には投資しなければいいだけの話です。

 

②株価の歪みがあれば利用すれば良い

株価が本来的な企業価値を大きく上回っているのであれば投資しなければいいだけの話なのですが、その企業価値算出に自信があるのなら、空売りを仕掛けるというのも有用な選択肢です。

 

冒頭の記事では、あたかも機関投資家等が算出した企業価値が"正解"であるというニュアンスで語られていますが、"正解"は誰にも分かりません

以前の記事でも書きましたが、PERの低い高いや株価の低い高いというのは、それっぽい財務モデルを使用しても、結局さじ加減でしかありません。

con-invester.hatenablog.com

 ちなみに、僕自身もPJの中で買収先の企業価値を算出したこともありますが、最終的にクライアントが「見たい数字」を見せてあげるために、財務モデルの各変数をいじっていました。

機関投資家の企業価値算出とはそのくらい漠っとしたものです。

 

まとめ

自分自身の基準で見て、株価が伸びるや割安と思えば買い、そうでないと思えば買わない。

株式投資とは本来的にとてもシンプルなものです。

「○○の株主優待がお得!」「△△の株主優待はイケてない」と株主優待だけを切り取って議論するのではなく、企業全体として良いのか悪いのかという企業分析を行い、投資判断を行うことが、利益を生み出すために大切なことでなないでしょうか。