経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

PERが「低い」とは

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PERという指標は投資家が好んでよく使う指標としてあまりにも有名です。

斯く言う僕もPERの愛好家でもあります。

今日はそのPERについてお話をしたいと思います。

 

なぜPERが「低い」方が望ましいのか?

PERはPrice Earning Rateの略で、株価÷EPSで算出されます。

PERは○○倍という形で表されますが、PERの逆数、即ちEPS÷株価は利回りとしても見ることができます。

例えば、株価100円、EPS10円であれば、PER10倍(100円÷10円)ですが、利回りは10%(10円÷100円)という形になります。

従って、PERが低ければ低いほど、利回りは高くなります

 

これが、「PERは低い方が良い」と言われる理由になります。

PERは唯一絶対の条件ではないため、「Yahoo!ファイナンスの低PERランキングで低い順に買おう!」なんてことにはなりませんが、PERが低いことに越したことがないのは事実です。

 

PERが「低い」とは?

ではどの水準からPERが「低い」と言えるのでしょうか。

某経済新聞や経済雑誌では、「TOPIX平均である○○倍と比較すると・・・」とお馴染みの呪文が唱えられていますが、実際にTOPIX平均を見ると、歴史的に「20倍前後をベースに時々異常な動きをする」という風に見えます。

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この20倍前後の水準を超えると「高い」、下回ると「低い」。そんな議論がなされています。

そうです、PERが「低い」とは、”風に見える”程度の感覚的な話なのです。

 

なぜ人々はPER 20倍を超える水準でも買うのか?

おそらく2通りの思考パターンがあるのではないかと考えています。

 

①今後の成長によるEPS増加(=PER低下)

株価は将来への期待を反映したものです。

「分子が未来の話をしているのに、分母のEPSだけ現在の話をしているのも違和感がある。」

つまり、将来事業が拡大して、EPSが増加すれば、分母が増え、当然PERも下がる、と言うことです。

たしかにその通りで、市場見通しや戦略志向を踏まえ、将来のEPSの伸びを考慮する必要があると思います。

 

しかし、です。

 

株を買うからには、「株価が上がる!」と思って買うわけです。

従って、同時に分子も増えることも予想しているわけです。

分子と分母が増えるわけですから、結果としてPERは変わらないという現象が起きるわけです。

 

もう一段反論を予測しておきます。

「EPSの伸びが、株価のそれよりも大きいんだ!」という感じでしょうか。

物事には然るべき手順があります。ベンチャー界隈でも短期間で売上高が数倍になるのは危険だと囁かれています。

モノでもサービスでも、設備の有無やチャネルの違いはあれど、人が考えて、人が顧客に届けるわけです。

売上高が数倍になるということは、マネジメントする人や、管理する設備も同じだけとは言いませんが、物凄い勢いで増えていきます。

所詮、それらを管理する人も投資家のみなさんと同じ人間です。どこか遠い国からやってきた賢者ではありません。

無理をして成長した企業は、いずれ崩壊します。

 

従って、「将来伸びていくからPERが高くても良い」というロジックは全くの誤りであります。

 

②内需によるEPSの安定感(=株価安定)

これは、海外景気などに左右されにくい等の理由でPERが天文学的とも言える水準で放置されている内需株です。

例えば、内需株の代表銘柄でもある食品株。

下記がヤクルト本社の株価・PERの推移になります。

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基本的には株価とPERが連動しているので、EPSが安定しているというのは正しいと言えそうです。

 

問題はPERの水準です。2015年4月には63.6倍をつけています。

これは開いた口が塞がらないどころか、どこに口があるか忘れるレベルです。

 

前述の通り、PERの逆数は利回りです。ヤクルト本社株の利回りは1.6%になります。

株価の変動リスクがある中で、利回り1.6%の投資対象に投資するという意思決定は、賢明ではないと言わざるを得ません。

 

まとめ

PERの水準とは、「みんながこう考えていそうだから・・・」という考えに依存しています。

”この程度”というPER水準が投資家の頭の中に刷り込まれていて、そこには何のロジックもありません

「PERは10倍が妥当!これは本当です!」と言われればそうかもしれないと思ってしまいます。

 

一つ言えることは、妥当(と言われている)水準が10倍でも20倍でも、できるだけ低いことが良いということです。

(繰り返しになりますが、投資対象のPERが唯一絶対の指標ではありません。)