さて、前回の続きです。
(前回行いましたTCWの分析はこちらになります。)
株価
業績低迷期を抜けると、株価は順調に上昇していき、2015年7月に1,340円を付け、2年弱で株価は約10倍に上昇しました。
そこから株価は急落し、現在(2017/3/16時点)は665円と直近高値の半値という状況です。
TCWが国内シェア60%以上を占めているため、純粋な競合との比較はできませんが、同規模で類似事業を行っている企業(建材・建築資材(コンクリート系))と比較した場合、PERもかなり低めとなっています。
戦略志向
国内の建設投資が一時的に上昇基調になったとは言え、2020年の東京五輪以降は市場の縮小が予測されています。
そのような中、TCWは新製品開発や技術改良を掲げており、来る市場縮小に向けて明確な戦略が示されていません。
建設需要に大きく依存する市場構造のため、建設需要が伸びる地域に進出するということが必要と想定されます。
世界の建設需要の見通しが纏められているリンクになります。
nikkankensetsukogyo2.blogspot.jp
TCWも1992年に中国に進出していますが、現在の事業展開状況は不明です。
(中国に非連結子会社が存在)
IRでも海外事業について語られていないことから、現時点で海外事業の強化という拡大案はないのかもしれません。
有価証券報告書でも、需要減少のリスクについて触れてはいますが、積極的に海外に進出するというよりも、縮小する国内市場の中でどう戦っていくかというところに視点があるようです。
目標株価
今の内から海外でプレゼンス獲得に動かないことは、長期的に大きな業績低迷のリスクを孕むことになりますが、今後3年程度を見据えると十分に業績拡大、および株価上昇が期待できると考えています。
簡易的ではありますが、目標株価(ターゲットはFY19)について書いておきます。
現在の一株当たり純利益が194.8円、株価が666円(2017/3/16時点)、PERが3.4倍
利益成長率とPERの感応度分析結果が下記になります。
利益成長率は、国内建設投資の直近3年の52%を最大値とし、その半分の0.26%、ゼロ成長の3ケース
PERは類似企業の平均値16.9倍を最大とし、現在値との最大値の平均、現在値の3ケース
最大ケースだと3,340円と現在の約5倍という中々アグレッシブなシミュレーションです。
長期プロジェクト割合増加が原因とは言え、直近業績が減少していること、長期的な業績低迷リスク(海外プレゼンスの不在)を孕んでいることを踏まえると、1,500~1,800円がターゲットになると考えています。