さて、前回の続きです。
(前回行いましたJAMの分析はこちらになります。)
戦略志向
JAMが掲げている戦略は①物件数の拡大、②コンサルティング事業の強化です。
①物件数の拡大
FY16で取得した物件は全てドン・キホーテグループの物件であり、今後も「実質的なドン・キホーテのバックオフィス業務の一部の担い手」は継続する模様です。
②コンサルティング事業の強化
ここでいう「コンサルティング事業」は前回の記事で記載しました「その他」セグメントに該当します。
全社売上の0.5%程度の割合であり、あと数年で収益の柱として育つことは考えにくく、独立企業として事業展開することは暫く先の話になるのではないでしょうか。
想定されるシナリオ
JAMは債務超過に陥った後に、ドン・キホーテが救済した形ですが、ドン・キホーテによる今後のJAMの扱いとして想定されるシナリオは3つあると思います。
(i) 持分売却、(ii) 100%子会社化(持分比率増加)、(iii) 既存の持分継続
論理的に考えられるオプションとしては上記3つですが、(i)については戦略志向で見た通り、ドン・キホーテグループ依存の事業展開であるため、実現性はかなり低いと想定されます。
他方、(ii)は親子上場解消の圧力もあることから、十分に考えられるシナリオかとは思います。
(参考:見直しが進む親子上場 大和総研
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/esg/cg/09102801cg.pdf)
(iii)についてはあって欲しくないシナリオですが、親子上場という特異な形が許される日本においては、十分に考慮しておくべきシナリオでしょう。
(ii)、(iii)どちらのシナリオの場合も、安定的にドン・キホーテグループの物件を仕入れて、賃貸や保守で業績拡大させていくというシナリオが有力だと考えられます。
参考情報ですが、ドン・キホーテは順調に売上・店舗数を拡大しており、JAMにとってはドン・キホーテ傘下というのは最高のポジションのようです。
つまり、ビジネスモデルがイケているわけではありませんが、PERが低く、且つドン・キホーテという強い後ろ盾があることで、今後も株価の上昇が期待できます。
目標株価
最後に簡易的ではありますが、目標株価(ターゲットはFY19)について書いておきます。
現在の一株当たり純利益が40.88円、株価が154円(2017/3/13時点)、PERが3.8倍
利益成長率とPERの感応度分析結果が下記になります。
利益成長率は最大値を3.0%とし、その半分の1.5%、ゼロ成長の3ケース
(本来的にはドン・キホーテの物件数の伸び等と連動させるべきなのですが、ドン・キホーテの物件がCAGR9%程度と高成長を続けているので今回は考慮外)
PERは2014年7月に株価が直近高値を付けた際の16.5倍を最大とし、現在値との最大値の平均、現在値の3ケース
利益成長3.0、PER16.5倍ケースだと株価が738円と現在の約5倍ほどになることになります。
このまま財務状態が改善すれば十分に説得力のあるシナリオかと思います。
個人的にはPER10倍程度を一つの目安にしているので、400~500円を目指す形になるのではないかと予想しています。