経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

平安レイサービス(2344)企業分析②

スポンサーリンク

 さて、今回は将来の葬祭市場の見通し、及び平安レイの戦略を踏まえ、目標株価について書きたいと思います。
(前回行いました平安レイの現状分析は下記になります。)

con-invester.hatenablog.com

葬祭市場の見通し

聞き慣れた言葉ですが、日本は少子高齢化社会であり、今後もそのトレンドは変わらないと予測されています。
高齢者社会の中で、2040年まで死亡者の増加が見込まれており、葬祭市場は成長産業であると言われています。

f:id:con_invester:20170310151409p:plain

 

こうした市場の拡大を背景に、近年ではホテルや電鉄、農協、生協等の他業種からの参入が相次いでいますが、葬祭市場は慣習など地域性が強く、平安レイはドミナント戦略による「地域の信頼」という大きな参入障壁を築いているものと想定されます。

もう一つの大きなトレンドとして、従来の「画一的な葬儀」から「簡素/個性的な葬儀」へというニーズの変化が挙げられます。(これは冠婚市場が先行して迎えた市場の変化になります。)

平安レイは冠婚事業を手掛けていることからこうした変化にいち早く反応し、葬儀用品の単品販売への転換(従来はセット販売のみ)や、式場・控室一体の自宅リビングのような空間作り等の動きを見せています。

今後市場のトレンドが顕在化することで、徐々にであるものの収益に対してポジティブな影響が出てくることが想定されます。

戦略志向

平安レイの戦略志向としては、①展開地域の拡大、②周辺事業の強化の2つだと想定されます。

f:id:con_invester:20170310154936p:plain

①展開地域の拡大についてはドミナント戦略を活用し、地続きに地域を伸ばしていくということだと思いますが、個人的に特に面白いのが②で、成長性があり利益率の高い葬儀事業に100%注力せず、市場の縮小が予測される冠婚事業や収益性が低い看護事業も持ち続けるということです。

先日記事でも記載した通りですが、その他事業が本業への送客スキームと効率化に大きな役割を果たしています。

 今後も葬祭専門業者にはない強みとして、更なる差別化(収益性の差異)を生み出していくことが期待されます。

目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価(ターゲットはFY19)について書いておきます。

現在の一株当たり純利益が91.6円、株価が981円(2017/3/10時点)、PERが10.7倍

利益成長率とPERの感応度分析結果が下記になります。

f:id:con_invester:20170310162219p:plain

利益成長率は市場成長(死亡者数)の1.8%を最大とし、その半分の0.9%、ゼロ成長の3ケース
PERは競合平均の24.2倍を最大とし、東京JQS平均の18.4倍、現状の10.7倍の3ケース

利益成長1.8%、PER24.2倍ケースだと、株価が2,338円と中々アグレッシブな目標ですが、今後3年間の目標株価としては十分にあり得るシナリオだと思います。 

個人的には1,800円を一つの基準に考えています。