さて、前回の続きです。
(前回行いましたスカラの分析はこちらになります)
株価
ソフトブレーンとのやり取りで失ったものは多く、”行儀の悪さ”というイメージが蔓延してしまいました。
株価は16年8月からおよそ3か月で一気に値を上げましたが、ソフトブレーンとの良好な協業を期待していた株主の失望、前述の”行儀の悪さ”への嫌煙により、株価は2割程度減少しています。
一方で、株価減少に加えて、ソフトブレーン子会社化によりその分EPSが増加していることが重なり、PERは低水準で放置されています。
ただここで分析を止めてはいけません。
前回も記載した通り、数字マジックを解いておく必要があります。
まず、FY16も関係会社の株式売却により、EPSが押し上げられています。また、FY17は前回も記載の通りソフトブレーン株の段階的取得による差益が計上されています。
それらを考慮外として、本業によるEPSの伸び及びPERを算出すると4.2倍から23.8倍まで上昇します。
(但し、ソフトブレーン連結化による増加は考慮)
競争優位性
スカラの競争優位性は、競合の多くがサイト構築支援の単体サービスを行っているのに対して、幅広いラインナップでサービスを提供しています。
顧客側からしたら、まとめて任せることで利便性が大きく向上する領域なので、スカラを選定する強い動機が生まれます。
そして、前回も記載した通り、よっぽどのヘマをしない限り、顧客はサービスをスイッチしようとは考えないので、ストックビジネスモデルとして安定的に収益をあげることが可能です。
IR資料にもある通り、競合と比較して安定的な成長及び収益性を実現しているようです。
また、月額収入も微増ではありますが堅実に伸びています。
但し、やはり問題なのはPERの水準です。
堅実な伸びは非常に好感が持てますが、本来であれば高止まりしているPERは正当化できません。
目標株価
最後に簡易的ではありますが、目標株価(ターゲットはFY19)について書いておきます。
現在の一株当たり純利益が190.2円、株価が800(2017/4/7時点)、PERが4.2倍
利益成長率とPERの感応度分析結果が下記になります。
利益成長率は、修正EPS(FY12-16)の11.7%とその半分、ゼロ成長の3ケース
あくまで利益成長は本業であげる利益という観点で修正EPSの成長率を用いました。
PERは、修正PERの23.8倍を最大とし、最大値と東証一部平均値との平均値、東証一部平均の3ケース
PERについても現在値の4.2倍は実態を反映していないため、修正後PERを用いて算出しています。
最大ケースでは、1,114円と算出されました。
僕自身、23.8倍を少々高いような感覚を持っているので、900円前後が一つのターゲットになるのではないかと考えています。
今回は数字マジックを紐解くという面白いケースでした。