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経営コンサルの割安株分析

元経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

スカラ(4845)企業分析②

さて、前回の続きです。

(前回行いましたスカラの分析はこちらになります)

 

con-invester.hatenablog.com

 

株価

ソフトブレーンとのやり取りで失ったものは多く、”行儀の悪さ”というイメージが蔓延してしまいました。

株価は16年8月からおよそ3か月で一気に値を上げましたが、ソフトブレーンとの良好な協業を期待していた株主の失望、前述の”行儀の悪さ”への嫌煙により、株価は2割程度減少しています。

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一方で、株価減少に加えて、ソフトブレーン子会社化によりその分EPSが増加していることが重なり、PERは低水準で放置されています。

 

ただここで分析を止めてはいけません。

前回も記載した通り、数字マジックを解いておく必要があります。

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まず、FY16も関係会社の株式売却により、EPSが押し上げられています。また、FY17は前回も記載の通りソフトブレーン株の段階的取得による差益が計上されています。

それらを考慮外として、本業によるEPSの伸び及びPERを算出すると4.2倍から23.8倍まで上昇します。
(但し、ソフトブレーン連結化による増加は考慮)

 

競争優位性

スカラの競争優位性は、競合の多くがサイト構築支援の単体サービスを行っているのに対して、幅広いラインナップでサービスを提供しています。

顧客側からしたら、まとめて任せることで利便性が大きく向上する領域なので、スカラを選定する強い動機が生まれます。

そして、前回も記載した通り、よっぽどのヘマをしない限り、顧客はサービスをスイッチしようとは考えないので、ストックビジネスモデルとして安定的に収益をあげることが可能です。

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IR資料にもある通り、競合と比較して安定的な成長及び収益性を実現しているようです。

また、月額収入も微増ではありますが堅実に伸びています

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但し、やはり問題なのはPERの水準です。

堅実な伸びは非常に好感が持てますが、本来であれば高止まりしているPERは正当化できません

 

目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価(ターゲットはFY19)について書いておきます。

現在の一株当たり純利益が190.2円、株価が800(2017/4/7時点)、PERが4.2倍

 

利益成長率とPERの感応度分析結果が下記になります。

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利益成長率は、修正EPS(FY12-16)の11.7%とその半分、ゼロ成長の3ケース

あくまで利益成長は本業であげる利益という観点で修正EPSの成長率を用いました。

PERは、修正PERの23.8倍を最大とし、最大値と東証一部平均値との平均値、東証一部平均の3ケース

PERについても現在値の4.2倍は実態を反映していないため、修正後PERを用いて算出しています。

 

最大ケースでは、1,114円と算出されました。

僕自身、23.8倍を少々高いような感覚を持っているので、900円前後が一つのターゲットになるのではないかと考えています。

今回は数字マジックを紐解くという面白いケースでした。

スカラ(4845)企業分析①

今回はスカラ(4845)の分析を行いたいと思います。

スカラは東証1部上場で、時価総額は137億円(2017/4/6現在)

 

企業概要

スカラは、ASPサービス会社です。(ASPについては後段で詳述)

今年の1月から3月にかけて営業支援システムを手掛けるソフトブレーン(4779)を強引に子会社化しようとして話題になりました。

スカラは「株主提案」×「株式追加取得」という波状攻撃を掛けますが、ソフトブレーンから徹底抗戦にあい、結局3月14日に株主提案取り下げを発表しました。(株式は現在も保有している模様です)

スカラの”行儀の悪さ”や両社の協業への期待が失望に変わったことで、株価は下落傾向となっていますが、実際の事業がどうなっているかしっかりと分析を行っていきたいと思います。(株価の推移は次回記載します)

 

事業内容

ASPサービスと言っても馴染みのない方が多いと想定されるので、詳しく見ていきたいと思います。

 

ASPとは?

ASPとは、クラウドコンピューティングの一つで、利用者が必要とするアプリケーションを、ネットワークを通じて提供するサービスのことを言うそうです。

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まぁ平たく言うと、サイトの構築サポートです。

例えば、「サイト内検索」や「よくある質問」の構築等です。

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ASPのメリットとは?

なぜ顧客はASP事業者にサイト構築のサポートをお願いするかと言うと、下記2点のメリットがあるからです。

①導入ステップが簡単・スピーディ
ASPでは、顧客がサーバやアプリを保有・運用する必要がなく、導入までの期間も大幅に短縮

②低コスト
月額制で、自社で専用サーバの購入・設定、運用体制の整備を行うよりも、低コストでサービスの利用が可能

 

要するに、牛丼業界が生み出した「安くて、早くて、うまい」というやつです。

ポイントは②で、一度入り込んでしまえば、余程ことがない限り企業がサイト変更をすることはないため、ストック型ビジネスモデルとして安定した収入が見込まれます。

 

業績

業績は順調に拡大中ですね。

FY17見込みの売上はソフトブレーンの連結化により大幅に拡大しています。

また、営業利益に関しては、ソフトブレーンの連結化に加え、ソフトブレーン株の段階的取得による差益が発生したことで約7倍に増えています。

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FY12-16を見れば、本来の事業も順調に伸びていることが分かりますが、直近の業績やPERは数字マジックであるということは頭に入れておく必要があります。

 

次回は株価水準、及び競争優位性を踏まえ、目標株価について分析を行いたいと思います。

ユニゾホールディングス(3258)企業分析②

さて、前回の続きです。

(前回行いましたユニゾホールディングスの分析はこちらになります)

 

con-invester.hatenablog.com

 

株価・水準

2012年4月から上昇を続けていましたが、2015年8月に6,240円を付けると、下落を始め、現在は直近高値の半値以下で推移しています。

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財務懸念で下落した形でしょうか。業績自体は好調に伸び続けているため、PERは競合と比較して低水準にあります。

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競争優位性

前回も書きましたが、ユニゾの強みは「優良立地」と、優良立地の調達を実現するための「資金調達能力」だと考えられます。

 

①「優良立地」

オフィス賃貸事業もホテル事業も、収益性は立地に大きく左右されています。

例えばオフィス賃貸事業であれば、駅から5分以内の物件が全体の8割と厳格な投資基準があるようです。

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優良物件を保有することで空室率を低くキープでき、結果、顧客を選べる立場になります。

長期的な優良顧客(オフィスであれば企業、ホテルであればテナント)を囲い込むことで、収益席も安定させることができます。

 

②「資金調達力」

しかし優良立地を調達するためには、そうでない立地を調達する時と比較し、より多くの資金が必要になります。

大型株ほど信用力がなく、また財務基盤もない中小型株にとっては、優良立地を多数調達するだけの資金を確保することは一つのハードルとなります。

しかし、前回記載した通り、ユニゾの場合はNet D/Eが異常なまでに上がっても、低コストで資金を調達することができています

この高い資金調達力により、同規模の競合が揃えることができないような物件をガンガン調達できると想定されます。

 

今後の見通し

気になるのは今後どこまで成長が続くかということです。

FY12-16のEPSは23.2%で成長しているものの、Net Debtはそれ以上(31.4%)で増加しています。

これ以上財務状態を悪化させれば当然格付けも下がるため、銀行OBパワーを発動しても低コストでの資金調達は困難になることが想定されます。

但し、ユニゾ自体はまだまだ手を緩める気はなさそうです。

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ここまでリスクテイクし、何等かの不足の事態が起こった時、さすがに銀行は傘を取り上げるのでは・・・と懸念してしまいます。

元銀行マンの自信なのか、はたまた元銀行マンのエゴなのか。現時点では測り兼ねるところであります。

 

目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価(ターゲットはFY19)について書いておきます。

現在の一株当たり純利益が332.4円、株価が2,707円(2017/4/4時点)、PERが8.1倍

 

利益成長率とPERの感応度分析結果が下記になります。

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利益成長率は、+1.0%、ゼロ成長、-0.1%の3ケース

利益成長率をどう置くか非常に悩ましいところですが、安定してキャッシュを生む体制はできているので、後はどれだけ早く負債を減らすかだと思います。

しかしながら、その辺の資本政策は外部者には分からないため、上記3ケースを仮置きしました。

PERはホテル・ビル賃貸の競合平均である18.9倍を最大値とし、現在値との平均値、現在値の3ケース

最大ケースだと6,473円という試算になりました。

 

約1年前にも6,000円台を付けていることからも、十分説得力がある水準ではないでしょうか。

やはり財務のところが少し気になりますが、ここまで見てきたように、あれだけ事業で収益をあげられるのはとても魅力的です。

 

ですので、自分のポートフォリオと相談しながら、財務状況の改善具合に応じて徐々に保有割合を増やしていくという投資方法が望ましいのではないでしょうか。

ユニゾホールディングス(3258)企業分析①

今回はユニゾホールディングス(3258)の分析を行いたいと思います。

ユニゾホールディングス(以下、ユニゾ)は東証1部上場で、時価総額は656億円(2017/4/3現在)

 

事業構成

ユニゾは不動産事業ホテル事業を展開しています。

構成比率(FY2016)は不動産事業:75.6%、ホテル事業:24.4%という比率です。

不動産事業には東京を地盤としたオフィス賃貸事業と、ゴルフ場の運営を行うゴルフ事業が含まれますが、過去のセグメントを遡ると、95%程度をオフィス賃貸事業が占めるという比率です。

ホテル事業は大都市・地方中核都市中心部に宿泊特化型ホテルを展開しています。

 

業績

業績は絵に描いた様に上昇しています。

業績の伸びもありますが、ユニゾの魅力は何と言っても収益性の高さです。

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不動産事業にしても、ホテル事業にしても競合のROSを圧倒しています。
(ユニゾのROSは事業毎に算出しています)

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ユニゾの競争優位性の深堀は次回行いますが、両事業の特徴として「優良立地」での事業展開が挙げられます

但し、財務的負担を掛けて「優良立地」を手に入れているだけである可能性もあります。

 

財務状況

Net D/Eレシオを見ると、かなり攻めた投資を行っていることが分かります。

健全性の目安である1.0倍を大きく上回る状況です。

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よくもまぁこんな状態でお金を貸してくれる銀行があるものだと思い、有価証券報告書で【役員の状況】を確認すると、11名がみずほ出身者という何とも香ばしい香りが漂う人事になっています。

実際に簡易的に貸出金利を試算(支払利息÷有利子負債)してみると、不動産大手3社の貸出金利を大きく下回る水準であることが分かります。

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銀行という組織はOBをとってもとっても大事にします。神の見えざる手が動いていても何ら不思議なことではないでしょう。

 

収益性は抜群に高いものの、何だか怪しげな臭いがします。

次回は競争優位性をもう一段深堀し、怪しげ臭いを払拭するだけの力があるかを分析していきたいと思います。

株主優待は悪か

先日、日経新聞に株主優待に関する批判的な記事が出るや、再び各種方面で議論が活発化しています。

www.nikkei.com

 

株主優待とは?

株主優待とは、企業が自社の株主にむけて、サービスや自社商品などを年に1~2回提供する制度です。

株主優待は日本独特の制度であり、冒頭の記事によると、導入している企業は日本が1,300社と超えるのに対して、米国は10社未満という現状のようです。

 

株主優待の問題点とは?

冒頭の記事では2点を問題として挙げています。

①個人投資家有利な株主優待の設計(=機関投資家軽視)②株主優待の魅力による株価の歪み

 

①個人投資有利な株主優待の設計

株の持分に応じて分配される配当金と異なり、株主優待は配当金ほど傾斜がつけられていません

株主優待が自社の製品やサービスでも、提携企業のものでも、そのコストは企業が負担することになります。

その結果は内部留保や配当金の減少という形で、株主の持分に応じて負担することになります。

これには納得できないといのが相対的に持分が多い機関投資家の主張です。

 

②株主優待の魅力による株価の歪み

以前の記事でご紹介した、正当化することが困難な水準のPERを持つヤクルト本社もそうですが、株主優待が魅力的な銘柄は、株価が本来的な企業価値を大きく上回るという現象が頻出しています。

 

株価が本来的な企業価値を反映していないと再編の足枷になったり、バブルの原因に成りかねないという、世界平和志望者のような主張です。

 

株主優待は悪か?

結論から申し上げると、僕個人としては以下の理由から「悪ではない」と考えています。

①市場は機関投資家のものではない

そのままですが、市場はみんなのものです。

たしかに株主優待は個人投資家有利な設計ですが、その他の条件を見れば機関投資家の方が有利な側面が多数存在します。

株主優待という一側面だけ切り取り、誰に有利不利を議論するのは建設的ではありません。

仮に、健全ではない株主優待を行い、本来内部留保や配当に回るはずの資金を食いつぶしているのであれば、そんな頭の悪い企業には投資しなければいいだけの話です。

 

②株価の歪みがあれば利用すれば良い

株価が本来的な企業価値を大きく上回っているのであれば投資しなければいいだけの話なのですが、その企業価値算出に自信があるのなら、空売りを仕掛けるというのも有用な選択肢です。

 

冒頭の記事では、あたかも機関投資家等が算出した企業価値が"正解"であるというニュアンスで語られていますが、"正解"は誰にも分かりません

以前の記事でも書きましたが、PERの低い高いや株価の低い高いというのは、それっぽい財務モデルを使用しても、結局さじ加減でしかありません。

con-invester.hatenablog.com

 ちなみに、僕自身もコンサル時代に買収先の企業価値を算出したこともありますが、最終的にクライアントが「見たい数字」を見せてあげるために、財務モデルの各変数をいじっていました。

機関投資家の企業価値算出とはそのくらい漠っとしたものです。

 

まとめ

自分自身の基準で見て、株価が伸びるや割安と思えば買い、そうでないと思えば買わない。

株式投資とは本来的にとてもシンプルなものです。

「○○の株主優待がお得!」「△△の株主優待はイケてない」と株主優待だけを切り取って議論するのではなく、企業全体として良いのか悪いのかという企業分析を行い、投資判断を行うことが、利益を生み出すために大切なことでなないでしょうか。

ひふみ投信が直面する問題

先日、藤野氏率いるレオスキャピタルワークが運用するファンドの残高が急増してたことで、問題に直面していると話題になりました。

www.nikkei.com

 

元々運用成績が良く投資界隈では有名であったひふみ投信は、テレビ東京の「カンブリア宮殿」に取り上げられると、人気が更に加速したようです。

 

既存投資家の方が嬉々として成功体験を語り、ひふみ投信や藤野氏への愛を惜しげもなく語る姿を見て、多くの投資家(予備軍)が自分の姿と重ね合わせたことでしょう。

 中には、「娘の学費を預けた」という行き過ぎた愛を語る人までいました。

 

そもそも「ひふみ投信」とは?

野村アセットマネジメントやゴールドマンサックスアセットマネジメントを経た藤野氏らが運用するファンドがひふみ投信です。

 

ひふみ投信の特徴は、「①徹底した企業分析」「②中小型株中心のポートフォリオ」になります。

 

①徹底した企業分析

ひふみ投信では、"足で稼いだ"定性・定量情報で、どのような投資環境でも独自要因で成長を遂げる成長企業を発掘することを掲げています。

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カンブリア宮殿でも、藤野氏が全国にある企業の経営陣へのインタビューや工場見学等を精力的に行っている姿が映し出されていました。

少し話はそれますが、藤野氏が企業訪問をする際は、どんなに遠くても最寄り駅からオフィスまでは徒歩で向かうそうです。

藤野氏曰く、オフィスの周辺環境を把握するため、又駅からの距離感覚を掴むことでどれだけコスト意識(駅に近ければそれだけコストが上がるため)を持っているかを把握するためだそうです。 

 

②中小型株中心にポートフォリオ

そしてもう一つの特徴は、ファンドの構成比率において中小型株が最も高いということです。

だいたいの比率としては、大型株:25%、中小型株:50%、超小型株:15%、現金5%という比率です。

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(ひふみ投信では、時価総額300億円未満を「超小型株」、時価総額300億円~3,000億円を「中小型株」、時価総額3,000億円超を「大型株」と定義しています。)

 

「ひふみ投信」が直面する問題とは?

お金は自身を肥やしくれる場所を敏感に嗅ぎ取り、絶え間なく動き回ります。

パフォーマンスの良い投信、ポートフォリオマネージャーの下には絶えずお金が流入してくるのです。

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例に漏れず、運用パフォーマンスの高いひふみ投信には、絶え間なくお金が流入し、純資産総額も伸び続けています

 

しかし、運用資産が増えたということは中小型株を主戦場とするひふみ投信にとっては必ずしもプラスに働きません

 

以前の記事にも書きましたが、機関投資家の運用する資金量は、中小型株では吸収し切れません。 

con-invester.hatenablog.com

 こうなると、大型株の比率を増やすか、或は海外の中小型株まで地域を拡大するか等の次なる一手が必要となります。

 

実際に藤野氏自身もこの問題に危機感を持っており、冒頭の日経記事に対して下記のようなコメントをしています。

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最後の「はっと気がついたこと」というのが非常に気になる点です。

あの伝説的な投資家であるピーターリンチも、自身の成功が次なる成功を遠ざけていることに悩み続けていたとい言います。

「はっと気づいたこと」が「視点を変えるとこういう風にも見えるよね」的なものではなく、本質的な課題解決策であれば、機関投資家として新たな境地を切り開くことになるかもしれません。

 

いずれにしても、現時点では強力なライバルである機関投資家が戦い難い中小型株というのは、運用残高が2,800億円もない個人投資家にとっては最高フィールドではないでしょうか。

PERが「低い」とは

PERという指標は投資家が好んでよく使う指標としてあまりにも有名です。

斯く言う僕もPERの愛好家でもあります。

今日はそのPERについてお話をしたいと思います。

 

なぜPERが「低い」方が望ましいのか?

PERはPrice Earning Rateの略で、株価÷EPSで算出されます。

PERは○○倍という形で表されますが、PERの逆数、即ちEPS÷株価は利回りとしても見ることができます。

例えば、株価100円、EPS10円であれば、PER10倍(100円÷10円)ですが、利回りは10%(10円÷100円)という形になります。

従って、PERが低ければ低いほど、利回りは高くなります

 

これが、「PERは低い方が良い」と言われる理由になります。

PERは唯一絶対の条件ではないため、「Yahoo!ファイナンスの低PERランキングで低い順に買おう!」なんてことにはなりませんが、PERが低いことに越したことがないのは事実です。

 

PERが「低い」とは?

ではどの水準からPERが「低い」と言えるのでしょうか。

某経済新聞や経済雑誌では、「TOPIX平均である○○倍と比較すると・・・」とお馴染みの呪文が唱えられていますが、実際にTOPIX平均を見ると、歴史的に「20倍前後をベースに時々異常な動きをする」という風に見えます。

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この20倍前後の水準を超えると「高い」、下回ると「低い」。そんな議論がなされています。

そうです、PERが「低い」とは、”風に見える”程度の感覚的な話なのです。

 

なぜ人々はPER 20倍を超える水準でも買うのか?

おそらく2通りの思考パターンがあるのではないかと考えています。

 

①今後の成長によるEPS増加(=PER低下)

株価は将来への期待を反映したものです。

「分子が未来の話をしているのに、分母のEPSだけ現在の話をしているのも違和感がある。」

つまり、将来事業が拡大して、EPSが増加すれば、分母が増え、当然PERも下がる、と言うことです。

たしかにその通りで、市場見通しや戦略志向を踏まえ、将来のEPSの伸びを考慮する必要があると思います。

 

しかし、です。

 

株を買うからには、「株価が上がる!」と思って買うわけです。

従って、同時に分子も増えることも予想しているわけです。

分子と分母が増えるわけですから、結果としてPERは変わらないという現象が起きるわけです。

 

もう一段反論を予測しておきます。

「EPSの伸びが、株価のそれよりも大きいんだ!」という感じでしょうか。

物事には然るべき手順があります。ベンチャー界隈でも短期間で売上高が数倍になるのは危険だと囁かれています。

モノでもサービスでも、設備の有無やチャネルの違いはあれど、人が考えて、人が顧客に届けるわけです。

売上高が数倍になるということは、マネジメントする人や、管理する設備も同じだけとは言いませんが、物凄い勢いで増えていきます。

所詮、それらを管理する人も投資家のみなさんと同じ人間です。どこか遠い国からやってきた賢者ではありません。

無理をして成長した企業は、いずれ崩壊します。

 

従って、「将来伸びていくからPERが高くても良い」というロジックは全くの誤りであります。

 

内需によるEPSの安定感(=株価安定)

これは、海外景気などに左右されにくい等の理由でPERが天文学的とも言える水準で放置されている内需株です。

例えば、内需株の代表銘柄でもある食品株。

下記がヤクルト本社の株価・PERの推移になります。

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基本的には株価とPERが連動しているので、EPSが安定しているというのは正しいと言えそうです。

 

問題はPERの水準です。2015年4月には63.6倍をつけています。

これは開いた口が塞がらないどころか、どこに口があるか忘れるレベルです。

 

前述の通り、PERの逆数は利回りです。ヤクルト本社株の利回りは1.6%になります。

株価の変動リスクがある中で、利回り1.6%の投資対象に投資するという意思決定は、賢明ではないと言わざるを得ません。

 

まとめ

PERの水準とは、「みんながこう考えていそうだから・・・」という考えに依存しています。

”この程度”というPER水準が投資家の頭の中に刷り込まれていて、そこには何のロジックもありません

「PERは10倍が妥当!これは本当です!」と言われればそうかもしれないと思ってしまいます。

 

一つ言えることは、妥当(と言われている)水準が10倍でも20倍でも、できるだけ低いことが良いということです。

(繰り返しになりますが、投資対象のPERが唯一絶対の指標ではありません。)